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「あ、あっあン、はぁ…遼平のお尻がパパの欲しいって」

 横になる英人のペニスを支え、遼平がアナルへ先端を押し込むとそれだけで遼平は射精した。精液が垂れるそこを自分で擦りながら腰を下ろして限界までペニスをくわえ込む。

「あああぁあっ!すごいっパパぁ…おっきいのがぁ…奥まできてる…よぉ」

 ぐりぐりと腰を回しながら精液を垂れ流す様を見て英人が冷たく笑う。

「淫乱が!もうチンコのことしか考えられないんだろ!さわるな!ケツだけでイけ!」

 はいぃ、とだらしない返事をして遼平が身体を揺さぶる。ペニスに触れるなと言われて、片手は乳首をぐにぐにと潰し、片手は舌を弄る。

「んあ、んあ、あァーー…っパパ、ぱぱ…っ」

 ぐぽぐぽと空気も混ざって汚らしい音も混ざるがひたすらアナルを擦り、自分の良いところを抉って嬌声を上げる。
 遼平の目にはもはや何も映っておらず綺麗な作りの顔もよだれや精液にまみれていた。

「はひ、あぁっいくっいく!」

 一層激しく身体をバウンドさせると遼平は仰け反って絶頂した。激しく痙攣するアナルに英人が遅れて精液を放った。

「はぁ、はぁ…っパパ…遼平のお尻にせいえき、嬉しい…」

 遼平の頬を涙が伝った。

「泣くほど気持ちよかった?今日は、志穂の命日だよ。特別にたくさん気持ち良くさせてあげるね。ママが見ててくれるよ。遼平がどれだけ成長したか。俺がこんなに大切にしているんだからちゃんと応えてくれよ?」




「んーーーーー!んんんっ!」

 開口具を着けられたままの遼平の尿道に綿棒が差し込まれる。それをゆっくり抜き差しされて半狂乱に遼平は頭を振った。
 両手はそれぞれの足首へ革ベルトで縛られて自由はない。アナルには太いディルドが入れられ、ローション濡れのそれがしつこいくらいの回転と共に出入りする。アナルは腫れていた。

「どう?電動ドリルの威力は?あ、喋れないか」

 楽しそうに笑う英人の声が遠くに聞こえて遼平は自分の唾液で窒息するような感覚に意識が朦朧とするが、下半身からの壮絶な痛みと、快感に身体は激しく反応していた。こころはとっくに限界を迎えていたが、成人した身体は強い。ちょっとのことでは壊れないと分かって英人の行為は年を重ねるごとに酷くなっていった。

「っ、っ…!」

 前立腺を容赦なく擦る凶器のような玩具が英人によって突き込まれると身体が痙攣して遼平はブラックアウトした。




 遼平が目覚めると手足の拘束と鎖に繋がる足枷はとかれ、身体は綺麗になっていた。
 身体は怠いが英人の気配がなくなり、不安になった遼平は辺りを見回す。いつもの部屋。少し開けられたら扉。ぼんやりとそれらを見た遼平は再びベッドに身体を沈めた。

「おかぁ、さん…」

 早く迎えに来て、と遼平は目を閉じた。

「寝るなよ、これからちょっと頼みが有るんだ」

 ベッドサイドに何かを組み立て始めた英人を遼平が不思議そうに眺める。

「カメラだよ」
「すごい大きい」

 純粋な感想を述べ、疑問にも思わない遼平を笑いながら着々と組み立てる。
 カメラをボックスから出すために立ち上がった英人を追うように遼平が身体を起こすとベッドから滑り落ちた。落ちた反動でコードに絡まった遼平へ機材類が降り注いだ。




「福谷遼平くん、はじめまして」

 処置が終わり、病院の人間と話があるという英人を待合室でぼうっと待っていた遼平の隣に男が座った。

「福谷志穂(ふくやしほ)さんの依頼で君が外に出るのを待っていたんだよ。彼は権力者だが、こちらも証拠を押さえたから心配はないからね」
「どういうこと?」
「外に出たいだろう?」

 遼平はゆっくりと首を横に振った。それに驚いた様子の男が言葉に詰まる。

「たくさん人がいてこわい。部屋にかえりたい」
「…お母さんが待っていても?」

 その言葉に遼平が顔を上げると男が頷いた。
 おかあさんは死んだよ、と言う遼平に曖昧に微笑んで男が立ち上がると、遼平は男のズボンの端を掴んだ。

「行こうか」

 遼平も立ち上がり、共に病院を出た。
 遼平は何も考えていない。母親がいるならば、どこにいるのか知りたかった。
 医師に明らかな暴行を匂わす痕跡を見られた遼平がいなくなっても英人が大騒ぎ出来る筈もなく、遼平は350キロ離れた母親の実家に連れてこられた。
 田舎の『ふくや』という看板の店に入ると、幼い頃に見たことがある祖父が迎えてくれた。遼平を連れてきた男が祖父へ大きくて厚い封筒を渡して去っていく。
 遼平は控えめに手を振った。

「おかえり、遼平。おおきくなったなあ」
「おじいちゃん…おかあさんいるの?」

 会いに行こうね、と言われて連れて行かれた墓地で遼平は泣いた。夢じゃなかった。長い夢から覚めたと思っていたのに。

「一人じゃないから大丈夫だよ」

 手を繋いで安心させるように優しく話す祖父。
 その言葉に頷いた遼平の手は祖父より大きくなっていた。時間は止まらない。遼平を残してずっと先へ進んでいた。

「…ひとりじゃないから大丈夫だよ…」

 言い聞かせるように遼平は復唱した。



幹汰と出会う前のお話。




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