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「続けろよ。いい眺めだったのに」
優しく頭を撫でながら下腹部に誘導すると、溜め息混じりに素直に応じて想はそそり立つ新堂のペニスを再び口に含んだ。先走りと唾液が飲み込みきれずに根元を擦る手や顎に伝う。優しく頬や耳を撫でられて想は眼を閉じた。閉じると咥内のものをもっとリアルに感じて、触ってもいない下着の中のペニスに熱が溜まる。
パブロフの犬のように後天的に植え付けられたセックスの快感にアナルが疼く感覚も想は感じていた。
「……どうして俺とセックスするんだ?」
聞いていないふりをしてフェラチオを続けていると、顎を掴まれた想の口からペニスが外れて新堂と視線が絡んだ。
口端から垂れる唾液を新堂の親指が拭い、体勢を変えた彼の唇が想の頬に触れた。
「……知ってるんじゃないですか?わざわざ聞かなくても。いきなりどうしたんですか?」
「想、お前こそ知ってるだろう?」
首を傾げる想に落胆した表情を見せた新堂は胡座をして上に来るように示した。向き合って座った想のシャツを脱がし、胸の先端を舐めると擽ったそうに身を捩る。
「俺が白城会を継げば今と比べものにならないくらい力が得られる。敵も増えるし、最初は内側の敵もいるかもしれない。だが、大切な人を作っても守るくらいの余裕はできる」
今はこき使われる側だからな、と苦笑いする新堂の言葉を吟味しながら想は喉の渇きと戦った。これはつまり、『自分は新堂にとって大切』と言うことになるのだろうか……とハッキリさせてほしくて新堂を見つめた。
「そんなに必死に見つめられるのは慣れないな……睨まれるのは慣れてるが」
『可愛いやつだな』と言う新堂の微かな笑みに、想は慌てて視線を逸らして下を向く。視界では新堂のペニスと自分のものがどちらも硬く立ち上がっていた。想は下着を脱ぎ捨て自分の指に唾液を多く絡めて腰を浮かせるとアナルにそれをねじ込んだ。一本でも最初はかなりの抵抗がある。ゆっくり馴染ませるように動かすが、ローション等には及ばない滑りでは時間がかかる。
「し、新堂さん……きついかもしれないけど……」
「想。なあ、それって肯定でいいんだよな」
唇を噛んだ想は少し黙った後、首を横に振った。新堂を見つめる眼も、触れている肌も新堂を受け入れているくせに、頑なに首を縦には振らない。
新堂の眉間に深く皺が寄る。
それに気が付いた想は彼の瞼にキスをした。
「俺はヤクザにはならない……ごめんなさい」
その言葉に新堂の纏う空気が変わり、勢いよくベッドに押し倒される。安物のベッドがギシギシと鳴った。
「お前、俺がそんなことを求めてると思ったのか?」
手首をベッドに押さえつけられ、怒りすら感じる雰囲気に想は気圧されそうになるが、必死に視線は外さないように努めた。
「いくら酔っぱらったって自分のやってることが分からなくなるほどガキでも馬鹿でもねぇ」
手首から新堂の手が膝裏に移動すると、脚を持ち上げられてアナルが晒される。其処に熱いペニスの存在を感じて想は息を飲んだ。
「う゛あ……ぁ、あ、っ!ふか、い……!!」
浅い呼吸でなんとか酸素を取り入れ様々な感覚に眉眼をきつく瞑ってやり過ごそうとするが、上手く行かない。容赦なく奥までねじ込まれ、想は水から出されて時間の経った魚のようにぐったりしたが時折身体を跳ねさせた。
「……き、……に……さっき、寝たくせに……!」
「お前が腕の中にいると実感して安心した」
新堂もきついであろう、精悍な顔には汗が伝う。
「俺はただ、傍にいてほしいんだ」
こんな仕事させたくない、と切実に言われて想は顔が熱くなる。じわっと目と鼻の奥が痛み始め、涙が溜まり始める。
「っ……すきになっても、いいってこと?」
当たり前だと頷いた新堂の鋭い眼差しに射抜かれて頬が、身体が益々熱くなった。抑えきれなかった涙が
ゆっくりとこめかみへ伝う。想は苦しい体勢のまま新堂へ手を伸ばしての髪を撫でた。
「……訳わかんない……」
突然すぎる……いきなり自宅に押しかけた酔っ払いとの一連のやり取りに想は呆れて小さく笑った。
少しずつなじみ始めた内部と入口が物欲しそうに蠢くのを感じて想は腰を揺する。
「頷くまで動かないからな」
「そっちこそ……嘘とかじゃ……」
「あぁ?」
やっぱり身体から素直にさせるしかねぇな……と膝裏を押さえつけたまま奥の方を抉るようにしてがつがつと腰が打たれる。想は声にならない声を上げた。腰がひくつき、自分が達したことに気付いて息を吐いた。腹に放たれた精液を新堂が拭うとそれを結合部分に塗りたくって休む間もなく動きが再開される。
視界がチカチカと点滅したように感じて必死にマットレスカバーに指を食い込ませた。膝裏を押さえる力に身体が苦しいがそれ以上に新堂の動きが強い。乱暴なのに想のいいところを知り尽くしている新堂は的確に其処ばかりを抉る。
「あ、ッ……しんど、さんっ……待っ……!!」
待てる訳ない……と入口まて引き抜いたペニスが奥まで一気に突き入れられると想は背筋を駆け抜けた快感に二度目の絶頂へ強引に追いやられた。
意思とは異なり、勝手に身体は新堂の愛撫に熱を増し、アナルは貪欲に新堂のペニスに食い付いていた。
「んンーーッ……!はぁ、は……う」
脚が解放されても身体は動かせず、全身で呼吸をしている想をひっくり返した新堂が腰を掴んだ。それに驚いて振り返った想は非難するのも叶わず、続け様にイかされてぐったりしていた身体は簡単に新堂を受け入れた。
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