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ザーザーと熱いシャワーを頭からかぶりながら夏はぼんやりと全てが流れていく排水溝を眺めた。
あれからもう一度イかされ、夏が友隆の下腹部へ手を伸ばそうとしたが何時ものようにそれは優しく拒絶される。
「…俺も同じなんだ。分かってる…」
そうだ。夏は自分のどこかが特別なのだと思いたかっただけで、他のモデルたちと変わらない。性感帯を敏感にされ、どれだけいやらしく鳴いても友隆は勃起すらしない。何度か女を部屋に連れて来て抱いている所を見れば、不能ではないのだ。
単に、仕事と割り切っているから。まるでロボット。
夏はシャワーを止めてバスルームを出るとタオルを頭から被って水気を取りながらリビングへ向かった。全裸のまま歩いても友隆は視線で呆れるだけだ。息子にそうする親の様に。
身体が関われば仕事の仲。それ以外は保護者と子供。今更か?と夏は電話をしている友隆を見つめながら自分を嘲った。
友隆は電話を終えると濡れたままの夏に、やはり呆れた様に声をかけた。
「風引くぞ。そんなんで俺が出ていったらどうすんだ」
「出て行くの?」
また、そう言う極端な例えしてさ…と笑った夏に友隆も表情は変えずに声だけで笑った。そして友隆の口元から、夏は結婚と言う言葉を聞いた。
現実味のあるそれは、夏の思考を止めるには充分に威力を持ち、力を奪う。
「四ツ葉さんだよ。夏も知ってるだろ。芸能事務所の」
夏の頭に友隆の言葉が入ってこない。それでも夏は笑顔を貼り付けて、おめでとうと微笑んで居た。
「うわ、すっげぇ…ケツマンとろっとろ…」
「んぅ、あ、あっ…ぁん」
ローションをぐちょぐちょにかき混ぜながら男が夏にペニスを打ち込む。夏はベッドへ手をつき足を広げて背後からアナルを好き放題されていた。溢れたローションが内股を伝い、その感触にさえ夏は震えた。触らずとも夏のペニスは完全に立ち上がり先走りを滴らせている。
その姿を舐める様にカメラが追い、結合部やヒクヒクと震える夏のペニス、快感に蕩けた夏の表情を収めていく。
「ひっ、んあ、あーーっあっダメだ、イっ、からぁっ」
パンパンとカメラに見せる様に大きく腰をスライドさせる男も夏の腰を掴んだまま気持ちよさに眉を潜めて浸る様に目を閉じた。
「イっちゃうの?あー、そんな締めたら俺もイきそう。いい?イっていい?」
「だめ、まだらめ…!もっと気持ち良く、してよ…ぅ、あっ、く…!」
ダメダメと首を振る夏に男は笑い、耐える様に息を詰めてから激しく腰を打ち付け始める。結合部のローションはぬちぬちと糸を引き生のペニスが夏のアナルを出入りする。難なく大きなペニスを咥え込んだ夏のアナルは貪欲にペニスにしゃぶりついた。
「そこっそこだめぇ…だめ、だってばぁっ」
「あー…出ちゃうよ」
「んんっ、ん…う…ぁふ…まだ、だめだってぇ」
男はイきそうなのか夏の演技に応える余裕もなく腰を振り始めた。
魅せるセックスの筈が、男は明らかに快感を追って夏のアナルでペニスを擦る。結合部を見るように男が指で尻を広げれば肉の少ないそこは貪欲にペニスを頬張る様が見て取れる。どろどろでいやらしい光景に男は声を上げて一層強く腰を叩きつけると夏の中に欲望を吐き出した。
中に注がれた夏は鳥肌が立ち、歯を食いしばった。中だしはされたくなかったが、そういう趣向だから仕方ない。そう言い聞かせる。
我を忘れるようなセックスではなく、あくまで映像作品としての演技。夏は気持ちいいと思えても、今、自分に突っ込んでいる男のように欲望のまま快感を追うことが出来ない。あくまで、どうしたらエロく見えるのか。興奮出来るのか。それを考える。それが仕事だ。ただ感じまくって、アンアン鳴いて、出せばいいってものじゃ無い。それじゃ、仕事とは言えない。これは仕事だ。
夏は自分のアナルから出て行くペニスを感じて眉を寄せた。男が尻を広げてひくひくと蠢くアナルがカメラに晒される。中に出された精液とローション、あらかじめ少し入れられていた生理食塩水が混じって溢れた。
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