「ぁ…あ、くっ…と、友隆…、痛…っ」

 夏は綿棒がゆっくりと埋まって行く己のペニスを凝視したまま、唇を震わせた。その隙間から漏れる声は弱く、不安気だ。それでも止めろと言わない事を友隆は分かっていて勿論辞める気配も無い。

「痛いのは初めだけだ。アナルだってそうだったろ?痛みの向こうは?夏は知ってるはずだ」

 耳たぶを優しく噛まれ、夏は震え上がった。始めてアナルへ指を受け入れた時も相当必死だったが、今では自分で前処理から後処理まで出来る。そして友隆に教えられた快感ポイントへ男優のペニスを、導けは後ろだけで達することが出来るまでになっていた。
 それは夏のいやらしさ以上に相手役の男優に自信を持たせる効果もあり、それはビデオの中でも発揮されるようになる。友隆はそうやって魅力を引き出して売れるものを作るのだ。
 夏は大股を開いている恥ずかしい状況と、あらぬ場所に綿棒を差し込まれている変態的な行為にぎゅっと目を瞑った。だが、それを察した友隆が夏の首筋を舐め上げた。ひくっと震えた夏が友隆の名を呼ぶと、厳しい声が耳を通る。

「ちゃんと見てろ。本番じゃお前がリードしてココに突っ込ませるんだぞ。もっと奥まで〜とか気持ちいい〜とか、いやらしいセリフのひとつでも言ってみろ。全然興奮しねえよ」

 夏の目尻に涙が滲む。もう後戻り出来る筈もなく、夏は必死に快感を汲み取ろうと脳内で自分を弄る友隆を想像した。
 一度も抱かれたことはないが、きっとどんな相手より乱れてしまうに違いない。大人になってからは裸すら見たことはないが、興奮しながら自分にペニスを打ち付ける姿を思い描いて夏はアナルがヒクヒクと収縮するのを感じた。

「あ、あ、く…、すげ…いぃっいいよぉ」
「ん?どこが、どうイイんだ?」
「んっ、ンん…ちんこ…すごい…」
「すげえなぁ」

 大股を広げて腰を僅かに突き出し、ゆっくりと抜き差しされる綿棒に合わせて夏は腰を揺らし始めた。

「や、やっ…ケツ、ほしいっ」

 クンッと腰を突き上げ、疼くアナルが物足りないと訴える。夏は完全に脳内の友隆に話していた。
 現実の彼は夏を抱いたりはしないのだが。

「は、いいね…どんな風に欲しいんだ?」
「…っ、デカイの、ずこずこ…!」
「ずこずこって…変態め」

 友隆は微かに笑い声を立て、ペニスに垂らしたローションをアナルへも垂らすと直径3センチほどのシリコン製の玉が付いたフックをゆっくりと夏へ埋め込んだ。

「んぁっあー、あっやだ、やだっ、…!」

 それが前立腺を開発するために友隆が使うおもちゃだと知っている夏は弱々しく頭を振った。

「やだ?んの割にゃ咥えちゃってんじゃん」
「や、やだ…!」 

 尿道の綿棒を放ったらかし、友隆はよく知った夏の前立腺を球体でごりごりと押しつぶした。夏は音にならない悲鳴を上げて腰を捩って目をキツくつむることしか出来ない。綿棒の刺さったペニスは夏が腰を蠢かせるたびにあっちへこっちへと揺れていた。その動きが中の異物の存在を強く主張し、夏は涎を垂らして荒い息を繰り返しながらうっとりと目を開いた。

「…あ、あ、…は、ん、友…ッ、イかせて、イきた、い…」

 もはや友隆は夏の脚を広げて、球体を固定しているだけだった。あとは夏が勝手に腰を振り、絶頂を求めて震える手をペニスに伸ばす。そしてゆっくりと綿棒に、指を添えた。

「あんっ、ん、…あぁあっ!ちんこ、やだっやだぁっ…」

 やだ、と繰り返しながらも夏の指は綿棒をゆっくりと抜き、ゆっくりと押し込んでその感覚に悶えた。初めての快感もアナルへの刺激が相乗効果をもたらし、夏はその行為に没頭してしまう。
 はぁはぁと荒い息を絶え間無く吐きながら腰を振ってアナルでおもちゃを咥え、ペニスに刺さる綿棒を動かす。夏の痴態に友隆は『いいこだな』と低く囁き下から突き上げるように一度だけ腰を揺すった。
 挿入されているわけでも無いのに、夏はその瞬間射精せずに絶頂を味わった。

「ひっ…ーーー? !あ、あ、あっ、く…イって…、?」

 驚愕に目を見開き、綿棒の埋まったままのペニスを見つめる。ひくんひくんと絶え間無く震えているが、精液が放たれていない。けれどイった時のような、それ以上のものが身体を突き抜けた。
 次の瞬間には力が抜けて前に倒れそうになる。友隆はそれを支えてアナルからおもちゃを抜き取り、未だに震えるペニスから綿棒を取り除いた。開いた尿道から遅れて精液が溢れ出す。
 友隆はその精液を塗りたくり、夏のペニスをぐちゅぐちゅと扱き始めた。

「ふ、ぅ…んん、あっ、あ、あ!!!とも、たかぁ…ちんこ、イクぅ…」
「出しとけ。楽になる。そしたらよく寝ろ」

 夏はその優しい声に胸が甘く震えた。きっと微笑んだり、労ったりする表情は無い。それでも、彼の声から優しさを感じる。
 好きでごめん。
 好きになっちゃったんだ。
 夏は何度も心の中で謝りながら、少なくなった精液を友隆の手に放った。








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