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ベッドへ移動し、優しく押し倒されてソイルの心臓が一際大きく鳴った。精悍な顔付きで見つめられ、顎を捉えられればソイルは自ら唇を動かして赤く熱い舌を覗かせたる。与えられる口付けは甘く、けれど深くソイルの全てを奪いそうな激しさだ。
キスの最中、ソイルは何とかギロアのペースにされまいと彼のシャツを握りしめていたが、それはあっさりと脱ぎ捨てられ、ソイルも裸に剥かれた。すでに硬くなり、先端を濡らすソイルのペニスを握り、ギロアはゆっくりと上下に扱きながら首筋へ唇を滑らせる。ソイルは縋るものが欲しくてギロアの逞しい身体へ手を伸ばした。ペニスへの直接的な刺激に、ソイルは堪らずに彼の手に腰を押し付ける。
「つるつるだな…」
感心するようなギロアの呟きにソイルは思い出したように顔を赤くした。19になっても未だに無毛のそこが、いかにアロンゾの欲求を満たす為の人形だったか言い表しているようで、ソイルは無意識に小さく謝った。
「なんで謝るんだよ」
ギロアは馬鹿にした風も無く言い、ちらっとソイルの表情を見てから身体を退かした。上に被さっていたギロアの温もりが消え、目を閉じていたソイルは不安気に姿を探して開いた。そして視界に飛び込んだ光景に大袈裟なほど息を飲み、慌てて腰を捩って逃げようと暴れる。
「は?!や、やだっやだ!いいってば!いいから!」
ギロアは閉じようとするソイルの内股を閉ざせないように強く押さえつけ、そそり立つペニスを口腔へ受け入れていた。熱い舌が絡まり、ソイルは腰のみならず身体を震わせ生理的な涙を溢れさせた。
抵抗があるはずなのに、同性の性器を躊躇無く咥えたギロアに、ソイルはその姿だけで達しそうだった。現に先走りが後から後から溢れ、ソイルのペニスは快感にヒクヒクとふるえている。
子供の頃の自分にとって、フェラチオは大嫌いな行為だった。大切なギロアにさせまいと思っていたソイルは不自然に乱れた呼吸を繰り返しながら驚愕の表情で自分の下腹部を凝視した。
「ほ…ホント…は、んぁっ、ああっやめ…っ」
「良くないか?初めてなんだから少しくらい大目に見ろよ」
毛が無いと舐め易いかもな、とソイルのパニックなどお構いなしで、再びペニスを口に含もうとするギロアの頭をソイルが慌てて押さえ付けた。
「ま、まままってっ、あ、は…ぅく」
もう片手で急いで己のペニスを押さえ付け、ソイルは短く鳴いて射精した。どろりとした物を自分の手に放ち、訳が分からぬうちに登りつめた余韻にソイルは泣きそうな顔でギロアを見つめた。
「あんた、思い切り、…が、怖いよ…キモく、無いの…」
「お前以外は無理」
ニコリともせずに言い切ったギロアに、ソイルは眉を下げて微かに笑った。俺の事、好きだからだよな?と自分の脳内で自分に問う。「好き」だと言葉では聞けずとも、行動や雰囲気から感じ取ればいいのだと分かると、ソイルの心はもやもやが無くなりストンと収まった。
「あんたの、口に入ったの…見ただけでイっちゃったし…ひどい」
「下手くそ?」
「それも分かんなかった」
でも気持ちよかった、と素直に告げ、ソイルは自分の出した精液をアナルへ塗り込め始めた。ひくっと物欲し気に蠢き出すそこに触れたソイルの手をギロアは止める。代わりに滑りを帯びたギロアの指がゆっくりとソイルのアナルへ侵入して来る。ソイルは狭い入り口をこじ開けられる感覚に唇を震わせて無意識に腰を浮かせた。
「や、な…なに…?ぬるぬる…?」
「医療用クリーム」
ぐっと根元までギロアの長い指を咥え込み、ソイルのアナルは収縮を繰り返した。潤滑用のクリームが熱でトロけ、時折いやらしく音を立てる。中に埋めた指を、どこに当ててどう動かせばいいのかここ数日で慣れてきたギロアの手にソイルは翻弄されていた。
「ああっん!んン…っは、ぁ、…そこ、好き…」
掠めるだけだった性感帯を確実に刺激するようになった指にソイルはあられも無く鳴いた。快楽を汲み取り、揺らめく腰が止まらない。
ソイルは荒い呼吸を繰り返し、快感をやり過ごそうと目を閉じる。気持ちいいと素直に言えば、そこばかりを追う指の動きにソイルは身体を捩って、逃げようと試みる。しかしソイルの腰を押さえつけるギロアの熱い指先にさえ感じてしまう。だが、突然の強い刺激にカッと目を開き、ソイルはガクガクと腰を震わせた。
「アァッ!ケイナン…っ!う、そ…っ」
ギロアは指を2本に増やしながら、期待に震えるソイルのペニスを舐め上げた。
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