「……まあ、話はゆっくり聞くか。今日は朝まで寝かさないし」
「なんだそれ。安いラブコメのセリフみたいなの」
「……本気だけど?」

 クラークは多くの女性を魅了してきたであろう微笑みをソイルに向けた。クラークが顔を武器に仕事をしていることをよく理解しているソイルは馬鹿にするようにクラークの頬をつねった。

「あと一口飲ませろ」
「待てないよ」

 ソイルが背中をベッドから起こそうと肘を付いた。その肘を払ってクラークはソイルをベッドへ押し付けるようにのし掛かる。グラスがソイルの手から滑り落ち、ベッドへ転がった。唇を合わせられ、クラークの舌がソイルの口内を暴れる。巧みな舌技に、ついソイルも応えてしまう。

「あっ!このやろっ……ん、んう……っは、この、ヤリチンが!」
「まさか。好きな人にしかしないよ。ソイルのこと、大事な友達だと思ってる。俺の中ではソイルは一番だけど?」
「そら、近くに居ないからじゃねぇのっ……ん、んぁあっ!」

 クラークはソイルのペニスをボクサー越しに揉んだ。少し熱を持っている弱い部分を握られてソイルの腰が引ける。

「ま、それはあるかもね。側で束縛し合うのは性に合わないし……やっぱ楽しめる仲がベストだし?でも、ソイルなら毎日会っても楽しめそう。趣味も合うし」

 クラークは笑みを向けたままゆっくりとソイルのデニムを下着ごと引きずり下ろす。内股を撫で、無毛の下腹部へ優しく唇を滑らせた。ビクッと震えたソイルの身体に、クラークの冷たい手が縦横無尽に這い回る。

「なあ、毎日剃ってんの?」
「っ剃るか!てか言うな!」

 ソイルはクラークの頭を叩いた。マジマジと下腹部を眺め、唇や舌でそこばかり愛撫されたソイルのペニスが硬く立ち上がる。頭を叩かれてもクラークは面白そうにソイルの表情を楽しみながらペニスには触れず、周囲ばかりを舐める。 

「女にも男にも見せられないね。俺だけ知ってると思うとすごく興奮するんたけど」
「……も、いいからさっさとやろうぜ。チンコこっちに寄越せば」

 欲情の色を滲ませる黒いコンタクトレンズの瞳がクラークを見つめる。熱を帯びた視線にクラークは静かに唇を舐めた。

「なんでカラーレンズしてんの?青いソイルの目、好きだな」
「喋ってんじゃねぇクソスマイリー」

 はいはい、とクラークは憎まれ口ばかり発するソイルの顔を跨いで衣服を脱ぎ捨てた。ソイルの口元へペニスを運び、クラークも立ち上がるソイルのペニスを咥えた。温かな粘膜に包まれ、ソイルは微かに腰を揺らめかせ、口元のクラークを頬張った。上からも下からも厭らしい水音が響く。完全に立ち上がりソイルのフェラチオに時折跳ねるようクラークのペニスが大きくなる。ソイルはクラークのペニスを咥えながら、目を閉じた。ギロアの背中が目蓋に蘇る。鍛えられた身体と、やる気の無い目に、本気が宿った時の強い眼差し。熱い手。触れたら、どうなるのか。ソイルは想像して、耐えきれずに口を離した。

「っは、クラークっイく、から……!」
「んん、ん?」

 出せば?とクラークが一層強くソイルのペニスを吸うように唇で擦り上げた。ひっ、とソイルは息を詰め、甘い声を僅かに漏らしてクラークの咥内へ射精した。若い身体はそれだけでは萎えず、次の快感に期待して震えた。

「ん?あんま出ないな。オナニーしたばっか?」
「……オシャベリが……」

 達した余韻にソイルは色めいた吐息を漏らした。達する瞬間、ギロアの姿がチラついて、ソイルは振り払うように目を閉じた。クラークは微かに笑ってソイルの精液をアナルへ塗り込み、ゆっくりと指を滑り込ませる。大した抵抗もなく指を飲み込む様に、口端を上げているクラークの顔が見え、ソイルは顔を逸らして目を閉じた。毎晩ではないが、時々後ろで自慰する。そんな身体になっていても、いつもクラークは優しくソイルのアナルを解した。
 二人はお互い、それぞれに仕事をしている。お互いに情報を交換したり、仕事の為に協力したりしているだけで、仲間ではない。それでも、お互いが数少ない信用できる人間だった。本音も言えれば貴重な時間を割いてもいいと思える位にはお互いを自分の中で重要な位置付けにしていた。
 身体も、恋愛感情はないが好きな相手だから繋げる。ソイルは他人に身体を見せるのが嫌いで、幼い頃マフィアに施された無毛な下腹部は誰にも晒したくない部分だった。だが、いつの間にかクラークにだけ、ソイルはそれも許していた。クラークの好意は深く、本物だと感じて。クラークも、ソイルが自分にだけ許す部分や漏らす本音に愛しさに似た何かが心を温めていた。

「ソイル、ワイン飲みたいんだろ?」

 クラークは体位を変えてソイルの足元に移動し、片方の脚を肩に担いだ。股を開き、晒されたアナルへ熱く滾るペニスを押し当てながらテーブルに置いてあったワインボトルへ口を着けて煽った。

「バカじゃねえの……そんな風に飲んだら……美味くない」

 クラークの口端から零れる赤いワインに、ソイルは口の中が乾くのを感じて舌を差し出した。クラークはワインを含んだままソイルと唇を合わせ、ゆっくりと液体を口内で移動させる。小さく喉を上下させ、口移しのワインを飲み込む。そのまま喰われるのではないかと言うような濃厚なキスを味合わされ、クラークか唇を離したときにはソイルはとろけた表情でクラークを見つめた。頬に当てられた手のひらに、擦り寄る様に頬を押し付けて目を伏せる。

「はやく……入れろよ……」

 担がれていない脚をクラークの腰へ絡め、ソイルは唇に残るワインをペロリと舐めた。









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