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「あ゛ぁあー……すっげぇ、イイわ。綺麗な肌だ……感度も抜群で、貪欲に誘惑してくるカラダぁ久しぶりだぜ……相当可愛がられてんなぁ」
「ん゙、ん……!はぁ、んあッ、う……?」

 べろりと首筋を舐めながら話しかけるジズの言葉にも、クスリで沸騰しそうな頭の想には聞こえていない様子だった。
 想の背中に覆い被さり、息荒く腰を打ち付けるジズの動きに容赦はない。
 想は揺さぶられるまま。瞼は重く、目は薄ら開いたままで刺激に時折、眉を寄せたりする以外は殆ど視点が定まらなかった。
 半開きの唇からは唾液が伝い、声と息がジズの動きに押し出されるようにこぼれ落ちた。
 激しい動きに刺されたままの右手は抉れて、血は止まらない。高められた熱と反対に血が失われる寒気に、想は身体も精神も制御不能になる。
 そんなことも気にせず、ジズはゴリゴリとアナルを突き上げ、バチュッ!バチュッ!と腰を打ち込み、雄叫びを上げて何度か中に出していた。

「ボス、そろそろ死んじゃうかもしれないですよ」
「あ゙ー……すっげぇいい具合だわ」
「ボスってば、気に入ったなら尚更、止血くらいしないとホントにイっちゃうと思います」

 レナーの緩いお咎めに、ジズは仕方ないといった様子で想の右手からナイフを引き抜いた。右手を中心に血に塗れたベッドは、かなり汚れている。出血の多さは一目瞭然だ。

「おい、まだまだこれからだぞ!起きろ」

 ひっくり返されても殆ど動かない想の頬をジズの手のひらが軽く打つ。
 
「ぃ、あ……?れん、……どこ……?」

 頬を殴られ、現実に戻りかけた想は新堂の姿、声、気配を求めて首を動かした。
 だが、ジズは抜けたペニスを再びねじ込んだ。厭らしく収縮する想のアナルの縁を指でなぞった。中に出された精液が結合部分を白く汚している。

「い、や……んぁあっ……ぅ、う……」

 想は背をしならせて弱々しい悲鳴を上げた。腰が震え、小さな吐息が零れた。
 傷ついている右手を止血しているレナーが包帯を巻きながら、あまり反応していない想のペニスを舐める。

「ほら、虐めすぎるからこっちの元気も無くなっちゃってます」
「クスリ追加してやるかぁ」

 足を広げさせ、されるがままになっている想の腰を抱え、自身に引き寄せる形で未だに腰を振る絶倫なジズにレナーは呆れた。

「こっちも試してやろうか」

 萎えかけている想のペニスを指で撫で、無理矢理身体に熱を与えようとジズは錠剤を想の口へねじ込んだ。
 大した抵抗もしなくなっていた想が、緩慢な動きの舌で錠剤を拒否し、押し出すのを見たジズは手の甲で想の頬を殴った。どこかで抵抗をする様がジズの加虐性欲に拍車をかける。

「ホント、お前いいなぁ!大抵ここまで来たら諦めるってもんだろが」

 頭を押さえつけ、想の唇をキスで塞いだジズが舌を捩込む。
 殆ど力の入らない想の拙い抵抗はジズを誘っている様に思わせた。唾液で薬が咥内を暴れ、溶けやすい錠剤は崩れ始める。
 必死に首を振っても大した意味は無く、最後の抵抗と言わんばかりに想はジズの舌を噛んだ。噛みしめるほどの力が残っていない様子に、ジズは笑みを浮かべて唇を解放した。

「お前が俺の裸を見ただけで涎垂らすくらい教え込んでやるから、期待してな?」

 再び唇を寄せると逆にジズが噛みついた。
 想は痛みにびくっと反応し、のろのろと腕を上げてジズの身体を離そうと押した。
 ジズが噛みついた唇から血が滲み、それをジズは舐めてから口を離した。
 想は舌で小さくなった錠剤を口の外へ。ころりと唇の端からシーツに落ちた。小さく呼吸を繰り返しながら完全に目を閉じた。

「どうせならお前も楽しめよ。ほら、可愛く縋ってみろ」

 半ば呆れて笑ったジズが想にのしかかり、腰を打ち込む。ドロドロになったアナルからペニスをギリギリまで引き抜き、ぐちゅぐちゅと入り口で浅く抜いては挿してと繰り返すと、想は眉を寄せて呼吸を乱した。ぐんっと奥まで長大なペニスが押し込まれると息を詰めて、縋るように弱々しくシーツを掴む。

「ぅん゙、も……い、やだ……きもち、わるぃ……ッ」

 想は自分の上を覆うような黒い塊が動物に思えたのを最後に意識を手放した。

「あたしも一緒に遊びたかったなぁ」

 レナーは想から視線を変え、小さな船窓から海を眺めた。
 ふと、明るみ始めた外、デッキに人影がまばらに動くのを確認したレナーが素早くシャツを纏って再び窓の外に目を凝らした。

「ボス、外がおかしいです」
「あぁ……?」
「様子を見てきていいですか」

 レナーの真剣な表情に、ジズは頷いて想から身体を離した。ジズは乱れたズボンをきちっとすると、シャツは身に付けずに銃を手に取った。
 想はベッドに転がったまま、ぴくりとも動かない。
 部屋を出たレナーに、外にいたヘイラルも目配せをして物陰に身を潜めた。数秒の静寂の後、デッキの方から銃声が響き、窓の割れる音や仲間の声が聞こえる。

「FBIだって言ってるぞ」

 無線を聞いたヘイラルが眉をひそめてレナーに視線を送る。
 ジズは取引により逮捕されないはずだった。

「知らないわ!どういうこと?!ボス!逃げて下さい」

 あっと言う間になだれ込んできた黒い武装集団に船の中が制圧されていく。仲間の死体を蹴り飛ばしながらジズはレナーを連れて船の下へ移動し始めた。

「船を出せ!商品も敵も全員殺して海に捨てろ!」

 ジズの命令に、ヘイラルは操縦室へ駆けた。発砲音の中を躊躇無く進む。
 どんな防弾仕様の装備でも、撃てば衝撃でダメージを与えられる。骨折もすれば死ぬ場合も。頭を撃ってすぐ殺すより、膝間接をぶち抜いて歩行困難にさせるのもいいか、とヘイラルはにやける唇を舐めて銃を抱え直した。

「アイツは後で始末してやる」

 ジズに遊ばれたのなら、想はろくに動くことは出来ないだろうと、ヘイラルは楽しそうに通路で応戦してくる相手に向けて的確に銃を撃った。






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