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「すげぇ暴れっぷりだなぁ。レナー、クスリを」
扉の横に控えている美女はレナーと呼ばれた。
恐らくは誰が見ても美しいと思う程のスタイルで、ブラジャーとひもパンのみを身につけていた。レナーはジズに布を手渡し、部屋の隅の香に火をつける。
レナーを目で追っていた想に、ジズは布を見せた。
「処女でもマンコがぐしょぐしょになっちまうくらいの代物だ。後は引かないから安心しな。ん……?男の穴は濡れねぇか」
こっちだな、と低く笑いながら想の股間を揉むように掴んだ。
想が身体を強ばらせると、刺されている手が抉れて痛みに益々身体が強張った。
そんな姿にジズは薄笑いを浮かべたまま肌の感触を楽しむように腹や背中を撫で回す。
「……いいねぇ。肌触りは最高だ。日本人だから?」
「泣きそうな顔、可愛いわ」
レナーが近寄り、ジズから布を受け取ると想の鼻と口を覆うように当て、後ろで結んだ。
左手でレナーを退けようともがけば、刺さったナイフをグイグイと動かされて抵抗が弱まる。声は出ないが叫んでいるところだと、想は歯をくいしばった。
鼻と口を覆う布からは特に匂いはなかったが、湿っている。吸わないようにと心掛けても無駄な足掻きだった。
「頬も、肩も、背中もすべすべ……男のくせにムカつきます」
「ハハハ!そうだな」
レナーがジズに混じって背中を撫でたのか、小さな呟きにジズが声を立てて笑った。
「あら、しかも情熱的な恋人がいますね」
シャツを捲り上げたレナーが背中のキスマークを指で押しながら笑った。
ジズは肌を触って遊んでいた手を素早く下半身へ移して想の衣服を乱暴に剥ぎ取った。
「男がいるのか!」
内股や腰に残るまだ新しい跡にジズは興奮気味に怒鳴った。
首や胸ならまだしも、背中や内股に跡を残す女は多くはない。
レナーは小さく溜め息を漏らし、ジズの視線に言われた通りクスリを含むローションを手渡した。
「アタシとは遊んでくれないの?寂しいわ」
視線を合わせるように屈んだレナーがブラジャーを外してふくよかな胸を見せつける。想は少し頬を赤くし、シーツへ顔を隠した。
「ゲイってわけでもないみたい」
「仕事のパートナーではないのも納得だな。レナーは下がって自分で楽しみな」
唇を尖らせながらも、ジズの言いつけ通りに下がったレナーが、香を深く吸いながら腰を揺らし始める。
「他人のモノを汚すのも俺を興奮させる」
ローションボトルの先端がアナルへ触れ、容器がへしゃげる程の握力で出された中身が、想の内から周りから下腹部を濡らす。気持ち悪さに想が顔をシーツに擦り付けた。足に絡まる衣服を全て剥がれ、腹の下にクッションを押し込まれると浮いた尻をジズが叩いた。
「小振りだがなかなかそそるじゃねぇか」
想は押さえつけられた腰が動かないことは諦め、左手で口を覆っていた布を取り、そのまま右手に刺さるナイフを抜くために奮起する。
深くベッドへ刺さるそれはなかなか動かず、痛いだけ。クスリの所為か力も上手く入らず、震える左手で固いナイフを動かす。
抜けないと分かっているようで、ジズはそちらには気も止めずにゆっくりと太い指をアナルへ侵入させた。
ぐちゅ、くぷぷ、ぬちゅっ……と、たっぷりのローションを纏った指がじわじわと入り込む。
口端を上げて指を動かしたジズが広げるように内側を擦った。
「おーう。いい具合に躾られてる穴だな。俺の指は美味いか」
想の意思とは裏腹に、中まで入れられたクスリの所為かアナルは熱く疼きながらジズの指をグイグイと奥へ誘い、締め付ける。
しっかりと反応している想のペニスに、ジズはクスリを塗りたくりながら扱いた。直接的な刺激に、想の身体が過剰に反応を示した。荒い呼吸の中に、甘い吐息が混じる。
それでも想はナイフを睨み付けてそれに集中する。つかみ損ねた左手の指が切れても何度も手を伸ばした。ナイフの刃が指先に向いていたら、手が裂けても思い切り引いてやるのに、と唇を噛んだ。
アナルの指が増やされ、想は頭まで真っ白になりそうで必死に首を振って耐える。
自分を失うなと言い聞かせ、半ば自棄に右手を動かした。胸くそ悪い快感より、痛みの方がましに思え、血が溢れてもナイフを揺らすように右手を動かし続ける。
「やんちゃだなぁ、おい」
ジズは楽しそうな声と共に、刺さっているナイフを更に差し込んだ。
声にならない悲鳴が喉を通過する。想は痛みを耐える息苦しさから意識が薄れていくように、身体から力が抜けていくのを感じた。抵抗を止めた身体は快楽に支配されていく。下腹部から這い上がる違和感のある快感に、想は目を閉じた。
「……れ、ん……たすけ……て」
突然の想の声にジズは一瞬固まった。
だが次の瞬間には凶悪な笑顔に変わり、アナルから指を引き抜くと滾るペニスにローションを纏わせ、
ずぐぐ……ぐぷっ、と張り出す先端を押し入れた。苦しげな想の呼吸と身体が震えているのを見下ろし、ジズは獲物を前にする獣のように舌舐めずりをした。珍しく、興奮が強い。
どちゅっ!っとローションが飛び散る勢いで、ジズの凶悪なペニスが想へ一気に押し込まれた。
「ぃあ"あぁああ"っ……!!!ひ、ぁ、あ……いた、い……ん、うぅ……ッ!!」
グチュ、と粘着質な音と空気の混ざった音を想にわざと聞かせるように、ゆっくりと腰を回すジズ。ずろろろ……と楽しむように引き抜き、想の身体が持ち上がりそうなほど勢い良く腰を打ちつけた。
ジズが動くたびに、想の悲鳴とうめき声が細く溢れた。想は声が戻ったことにも気が付かない程、クスリで昂っていた。
内側を犯す長大なペニスに痛みと快感を感じて、生理的な涙が溜まる。神経が擦り切れそうになっていく。想は無駄だと分かっていても、抵抗をやめられない。
「抜けよ……!!クソ、やろぉ……っ!!」
「良い声だ。クスリで精神的に開放されたか。おら!!もっと鳴けよ」
色気が足りねぇな、と言葉とは反対に満足そうにジズは呟いた。ジズの陰毛と腰が想の肌に触れ、挿入の深さは凄まじい。ジズの大きなペニスを想のアナルは限界になりながら必死に咥えていた。
パンッ!パンッ!と肌を打つように強引に挿入を繰り返され、想はぎゅっと目を瞑った。
「ぁぐ……!いた、い……ヘタクソ!」
「あ?日本語はわっかんねぇよ」
「痛いって、ヘタクソ呼ばわりされてますよ」
クスリを吸引していたレナーがヘラヘラしながら通訳すると、ジズは楽しそうに頷いた。
「俺のはデカいからなぁ。でも、慣れてんだろ、この穴は、よ!」
想の腰を指が食い込むほど掴んだままジズは自身の腰を回すように使い、アナルを押し広げる。想は息を詰めるが、前立腺を圧迫するペニスに腰が震えた。
「……ふ、ぅ……っいやだ……くそっ……や、やだっ……やめろ……!」
次第にクスリが痛みと快感を繋げ始める。反応してしまう身体に、想は歯を食いしばった。
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