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仕事を終え、事務所を出てきたのをミク、いや三雲に話しかけられた。

「話し、あるから」
「よくわかったな、ここ」
「達志に聞いた」
三雲はそれだけ言うと歩き出した。

その後を追う。

「メールしてんだって?」
「まーな」
「達志さ、お前と会ってからすっげー楽しそうなんだ。まだ好きなのかもな、お前の事」
「ミク、あいつはオレに振られたつーか、オレが男同士に偏見持ってて、つい告白して、オレから偏見の目で見られるのが怖くて逃げたよな」
「……そうだな」
「そう思わせとけ。ミク、心配するな、オレは好きな人いないと達志に嘘をついた。けどな、いるんだ、恋人」
「優生、モテたもんな」
「女じゃないんだ、恋人」
三雲の息を飲む音がきこえた。

「達志に言えないだろ、これ」
「まぁ、な」

「わかってるんだ、お前が何言いに来たか。オレらは会うべきじゃなかったな」
「わかってるなら、なんで……」
「わかんね。あの告白までは達志は唯一オレに安らぎをくれた奴だったから、かな」
「俺と付き合ってた時は安らげなかった?」
「なんだろう、違う。あいつといると許されてる、そんな気になるんだ」
「許されてる?」

「……なぁ、ミク」
なに、と三雲が振り返る。

「好きだったよ、1番じゃなかったけどな」
「優生、変わったね。前はそんな素直じゃなかった」
「そうか? そうかもな。けどお前が女になって、オレのトコに来てたら、マジ付き合ったくらいは好きだった」
「ほんと?」
「ああ」
「ありがと」
三雲は小さく礼を言った。

「なぁ、優生の付き合ってる奴ってどんな奴?」
「どんなって普通の奴だよ。ちょっと天然入ってるけどな」
「ふうん。達志みたいな奴?」
「あー、言われてみたら似てるかもな」

歩きながらふと見上げた空にぽつり1つと星が瞬いていた。

類はあの星だ。
1人静かに人から離れて見ているタイプ。

達志はみんなと騒ぐのが好きなタイプ。いや、ちやほやされるのが万更でもないタイプだ。

似ているようで似てない、似てないようで似ている。

「類だから好きになったんだ。達志に似ているからじゃないからな」

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