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そこへ、携帯が鳴った。
ハギヤの携帯だ。

「あれ、リクだ」
携帯の表示を見てから電話に出た。

萩哉がすぐにアラタに代わる。
けれどすぐ電話は切れた。

「バカが」
呟いて、おれを見た。

「弟に会った? 悪かったな、それ殴ったの弟のウミだ」
「あいつ、兄ちゃんっ子だからなぁ」
ハギヤが笑う。
「度が過ぎる」
「確かに」

センパイの手が殴られた頬を滑った。
「大丈夫。腹に蹴り入れてやったから」
センパイとハギヤは顔を見合わせ溜め息をついた。

「無事で良かったな。あいつ、空手やってるから強いぞ?」
ハギヤの言葉にえっと驚いた。
そんな強いって感じはなかったから。

「一応、加減はしたんだな。じゃなかったら今頃ヒナタ、ボロボロだ」
センパイが言うから今頃怖くなった。

おれはケンカ慣れなんてしてない。

素人なんだから、ケンカ売られても相手の技量がわからないんだ、買わないようにしよう。

こっそり胸の内で誓った。

「じゃ、オレ捜しに行くわ」
「おー。悪い」
「いつもの事いつもの事」
そう言ってハギヤは出て行った。

「捜すって誰を」
「ウミを。ヒナタ殴った後、どっか行っちゃったらしくて。で、リクは応援をハギヤに頼んだわけ」
「センパイじゃなく?」
「オレはヒナタについてるから。リクなりの配慮だろ。
アイツがふらっと1人でいなくなるのは、まぁいつもの事だから」
「ふうん」
「あんまり弟には近づくな。特にリクには。何されるかわかんねぇから」
「わかった」

センパイに頷いていた。

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