Aqua blue | ナノ


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最初にスバルがレンジに気付いた。
「おぅ、お前もサボりか?」

「自習よ自習。だからたるくて上がってきたのー」
レンジはセンパイに顔を向けると笑った。
レンジはあまり笑う事はない。幼馴染みのおれにすらあまり笑顔を向けた事はない。
「シンだろ。おれの事覚えてる?」
「もち。レンジだろ」
「そ。うわっ同窓会?」
「よく生徒会室でだべったな」
センパイとレンジ知り合いだったんだ。なんとなく疎外感を感じるヒナタ。
輪に入りづらい。

「あ、そうた。ヒナタから見せてもらったぜ。写メ」
「あ、見た見た? よく撮れてたろ」
センパイにスバルが答える。
「あ、何、何の話しよ」
レンジが割って入る。
「これこれ」
スバルが携帯を操作してカメラで撮った画像を見せる。
「へーよく撮れてるじゃん? おーおータバコお吸いで」
からかうようにセンパイの肩を揺らすレンジ。
「消せよ、それ」
軽くスバルを睨みつけるセンパイ。
「やだねー。脅すネタはあったほうがいー」
「うわっなんて奴だ」
笑って返すセンパイ。
「俺消してもヒナタが持ってるしー」
「けど、これいいアングルで撮ったな。絵になってるぜ」
「まじまじ?」
「これ、マジ。これ俺にもくれ」
おぅ、とスバルは画像をレンジに送ろうとした。
「待て、カイチョー」
センパイがストップをかけた。そうだよ、あげる事ない。もったいない!
「チガサキちゃん、俺、もう会長じゃねーよ。スバルな、シン」
「ラジャー。それ、オレにまず送れよ。被写体、オレ」
「わーった。で、なんでレンジいるんだよ」
「えー、くれないのかよ」
スバルとセンパイは赤外線で通信してやり取りしたよう。
「あ、俺にも教えろ」
赤外線で番号などのやり取りもしているんだろうか。
「な、待受ダメ?」
「それ、やべぇよ」
レンジをスバルが止める。
「だよな。まぁいいや。いいもん、貰った」
「なんで欲しいわけ」
「脅すため…っていうのはウソ。たんに気に入ったからさ」
「ふうん?」
わかったようなわからないような顔でセンパイが頷いた。
「それ、お前で止めとけよ」
「バレたら退学だもんな? シン」
笑ってレンジは答えた。

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