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なんだかスバルとレンジにセンパイをとられた気分だ。
おれは踊り場に座り込んだ。
気付けよ、センパイ! おれがここにいるの。
そんな事を思ってみる。
楽しそうにセンパイはスバルとレンジの2人と話しているセンパイにちょっと腹がたった。
気付け。気付け。
念を送ってみる。
けれどちっとも気付きやしない。
おれにテレパシー能力はなさそう。
あーあ。
フト。センパイがこっちを見た。
ウソ、通じた?
「ヒナタ」
名前を呼ばれる。
「え? ヒナタ?」
スバルもこっちを向く。
「いるなら来いよ」
センパイの呼びかけにひょこひょこ出て行った。
「携帯、忘れてたぞ」
センパイの学ランの内ポケットからおれの携帯が出てくる。
センパイ、気付いてくれてたのか。
礼を言って受け取って、センパイの隣に座った。
「知り合い……だったの?」
「まぁな」
スバルが短く答えた。
「生徒会にオレが部の事でカイチョーに直談判に行って、それ以来話し合ってよく話したよな。
その時レンジがちょくちょく生徒会のほうに顔出してた」
「ふうん」
そうやって知り合ったのか。
センパイの説明にちょっとスッキリした。
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