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「将?」
「なにっ」
「お前、鳥肌たってる」
「寒いもん」
尊は将司の額に手をやって、身体を離した。
「熱ある」
「えー?」
「寝ろ。風邪かもな」
「えー、せっかくタケやんとできるのにー」
「自覚ないのかよ。寒いんだろ」
「だからやろ? 身体あったかくなるじゃん」
「バカ」
額を突いて息を吐く。
「ちょっと待ってろ。寒くないように着込んでろよ」
将司の部屋を出て部屋に付いている簡易キッチンに立つ。
小さな冷蔵庫から牛乳を取出し子鍋に入れる。火にかけてから自分の部屋に入り冬に買った余ったカイロを数個手にした。
将司の部屋に戻ると上着を着た将司が振り返った。
「まだ寒い」
カイロの袋を開けて将司に渡す。
「今、牛乳あたためてる。ココア作ってやるから、それ飲んで寝ろ」
「うん」
キッチンに戻りココアの粉を入れ、砂糖を甘くなりすぎない程度に入れた。
マグカップにココアをそそぐとココアの甘い香りが漂う。
「将司」
将司にマグカップを渡すとサンキューと返ってきた。
自分用のココアを一口飲んで将司を見ると、じっと尊を見ていた。
「まだ寒いか? 暖房つけるか?」
「タケやんが暑いだろ、そこまでしたら」
今の季節は6月。さすがに暖房をつける季節ではない。
「じゃあさ、一緒に寝て暖めてよ。人肌ってあったかいでしょ?」
「いいよ」
「やった!」
ごそごそと尊の隣に座り、ココアを飲む将司に尊は寄りかかる。
「タケやん」
「何?」
「知ってる? セフレの中で尊のココア、すごく好評なの」
「なんだ、それ」
ふふっと将司は笑った。
「おいしいって。おれ同室なのにタケやんのココア飲んだことなかったから、すげー感動してる」
「大袈裟。まっ、そんな感動してんならまた作ってやるよ」
「ほんと?」
「ああ」
「うっわ。おれ、すっげー嬉しいかもしんない」
「お手軽」
「お手軽、いいじゃんー」
マグカップを置いて擦り寄ってくる。
「尊、あったかい」
「そうか?」
さり気なく将司がキスを仕掛けてくる。
「ココアの味がする」
呟いて唇を重ねる。
「まさ……」
名を呼ぶと将司が上目遣いで見上げてきた。
「しよ? 1度出来ると思ったら、さ」
そう言って将司は尊をベッドへ押し倒し、再度尊の唇を奪った。
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