心の欠片 | ナノ


▼ 5

しょうがないと好きにさせる。将司の舌が尊の舌と絡み唾液が混じる。

将司の手が制服のシャツのボタンを外していく。

ん……、と鼻にかかった声を上げて、もっとと急くようなキスをする。

攻めろ、と将司が催促しているのだ。

ぐっと将司の顎を掴み、将司の舌を捕まえて舌を軽く噛んだ。

「う……」
うなる将司ににやりと笑い、舌を吸った。

「んんっ」
思いっきり吸って口を離した。

「ジンジンする……」
剛の顔を見てくる将司に今度は軽くキスをする。ペロリと顎を舐め、首筋にも舌を這わせる。

「あっ」
喉仏にかぶりつく。

将司の喉が上下に動いた。

「何、とって食ったりしないけど」
「や、なんか……」
肉食獣に狙われた草食獣の気分になった。

「俺、肉食獣か」
「喰われるのは変わりないよ」
「まぁな。逃げんの?」
「喰われたいから逃げないよ。喰って? 腹一杯、喰って」
ボタンを外し終えていた将司の手が尊の胸に置かれる。

「脱げ。下だけ」
「下だけって、やらしーな。タケやん」
「バカ。熱あるからな。着とけ」
「大丈夫だよ? でも、うん、着とく」
心配されたのが嬉しいのかはにかんだ将司。
将司は前を広げ、ズボンと一緒に下着を床に落とした。

「俺のも」
「ん」
上に乗る将司は尊の上から退こうとする。

「跨いで。そのまま上にいろ」
「ん」
足を広げて跨いでくる将司の下半身はシャツで隠されていた。が、ちらりと見え隠れする。

「チラリズムだな」
「え? あー、見るなよ。言われると恥ずかしいじゃん」
言いながら尊のベルトを外してボタンに手をかける。

その手を止め、言った。

「将司の絶対領域」
「それ、女のスカートの中じゃん。男にも使うの?」
「知らねーけど。使えんじゃん、今の将司の格好じゃ」
「……尊以外は犯されてない領域だ」
「そうか。ふぅん……。将司って、童貞?」
「……悪い?」
間が開いた後、将司は答えた。

「いや、嬉しい」
「尊の童貞卒業はいつだった?」
「俺? 中2の時。宝女の子だった」
近所に女子校がある。中高一貫の私立聖宝女子学院。名の知れた女子校だ。

「女の子だったんだ」
「まぁな。男は……聖城の奴。中3か」
「相手、だれ?」
「名前、何ていったっけな。千早の従兄弟とかだった」
「身内はちゃっかり喰ったのかよ」
「ああ。千早に黙ってろよ。知らないからな」

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