心の欠片 | ナノ


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「な、セフレの家って誰の? 尊のセフレって自宅組もいるけど、そいつらじゃないのはわかってる」
「じゃ、お前が俺のセフレをまだ把握してねぇってことじゃね? お前さ、俺のセフレでもないくせに詮索するな、ウザい、マジで」
「セフレにもさせてくれないだろ」
「何度も言ったろ、タイプじゃねぇって」
チラリと五月を見れば、五月はこっちをじっと見つめていた。

「……水、持ってくる」
くるりと五月は背を向けた。

五月の背中を何気なく見てると大和と千早が帰って来た。
「ハイ、オムライス」
「……誰書いた」
「僕」
ニコッっと満面な笑みをかえされる。
「上手いな、大和」
オムライスの上にはケチャップで書かれた人参をくわえた兎がこっちを見ていた。
「ほんと?」

大和をみていると先ほど感じていたクサクサした気持ちがどこかへ飛んでいく。
五月といるより気分がいい。

五月が水を持って帰ってくる。テーブルにコップが置かれたお盆を置くとさりげなく尊の隣に座った。



飯を食ったら自宅組の千早は帰って行った。
大和は友達が来たから食堂で別れた。

尊はぶらぶらと部屋へと戻った。
同室の奴はいないようだ。


ノックの音にドアを開けると五月がいた。
「なに?」
「好きだ」
「お前も懲りないな」
尊はため息をついた。
「俺にどうしろってゆーのよ、お前」
「付き合って」
「恋人はいらね」
「セフレ」
「間に合ってる。かなりいるし」
「尊のタイプってどんな人? タイプじゃないって言ったよな。けどセフレっていろんなタイプが交じってるように思うけど」
「控え目な奴。まずそれからしてお前、外れてる。
詮索しない奴。これもお前外れてるよな。嗅ぎ回ってるよな、犬みたく俺の事」
「好き……だから」
「好きだから何してもいいのかよ。サイテーだ、お前」
「……いいよ、サイテーで。それ以上落ちようがないから」
低い声で五月は言った。
「サイテーね、いいよ、もう」
ぐっと五月は尊の胸倉を掴んだ。
「離せ」
「ねぇ尊、」
尊より背のある五月が見下ろしてくる。
「めちゃくちゃにしてあげる」
尊の耳元で五月が囁いた。

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