▼ 11
五月は笑っていなかった。尊をみる暗い目。
そんな五月にぞっとした。
本能が尊に逃げろと警告を出していた。
尊はおもいっきり五月の膝を蹴り上げた。
途端に緩む胸倉を掴んだ手。
素早くその手から逃れドアノブに手をかけた。
バン!と音がしてドアが押さえられた。
「逃がすかよ」
チッっと舌打ちして尊は後ろを振り返った。
五月がこっちを見ていた。
お互いの視線が絡み合う。
五月がにやりと口の端を上げた。
「そろそろだと思うけど」
そう言って五月は尊を抱きしめた。
ぞくりと快感が尊の身体に走った。
「なに?」
つっと五月の指が尊のうなじを滑った。
「ふっッ」
尊の身体が徐々に熱くなる。
「何、した。五月」
「えー、尊が飲むだろう水に微薬入れてみたんだ」
にこっと笑みが返される。
「触るなッ、あっ」
五月の触る所から快感が生まれ熱が上昇する。
下半身に熱が集中する。
「敏感になってるね、尊」
くすっと頭上で笑う声。
尊はぎゅっと唇を噛み締める、声を上げないように。五月を喜ばせないように。
「タケル」
耳元で囁く声に背中がゾクリとした。
五月の声は高くもなく低くもないが、実は秘そかに尊好みの声をしていた。
声だけなら断トツ1位だ。
「たける」
「……っ」
指が胸の突起へ落ち、服の上からぐりっとこねた。
びくりと尊の身体が跳ね上がる。
「やめろ、五月っ」
「言ったよな、めちゃくちゃにしてあげるって」
尊の顔を上げ、唇を犯す。抵抗しようと力を入れるが薬のせいでいうことをきかない身体。
ぞくぞくと快感が走る背中。
「感度バツグン」
耳元で囁く五月の声。
五月が耳たぶを噛んだ。
「サツキ!」
ぺろりと耳を舐める。
尊の唇をむさぼり、手はジーパンの前を開けていた。トランクスの上で五月の指が這う。
尊のペニスは硬く張り詰めていた。
そのペニスをぐっと根本から五月は掴んだ。
「あっ」
根本を掴んだまま尊を上から見た。
「イきたい?」
聞きながらペニスを扱いていく。
絶頂が身体を駆け巡り、先走りで五月の手を汚す。
イきたいのにイけない。根本を掴む五月の手が邪魔だった。
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