スピンオフPink chanmery | ナノ


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リカが殺されたのは午前1時前。

同伴してきたホストもその時間には店にいたし、キャッチをしていた飛路も店に戻ってヘルプに付いていた。

ガチャッといきなりドアが開き、飛路がドアの方へ顔を向ける。

背の高いスーツを来た男が1人の男を従え入ってきた。

「隣で」
オーナーが席を立つ。

篠山が、こっちは頼んだと大地の肩を叩く。

そして入ってきた2人は篠山とオーナーに案内されドアの向こうに消えた。

「今の、誰?」
「知らないのか。この界隈のみかじめを取ってる我流会東雲組組長さんと若頭の人だよ」
「ヤクザ?」
大地は頷いた。

ヤクザがバックについてるのはなんとなく知っていた。近くの風俗店だってヤクザがバックに付いている。

大地にいくつか質問され答えていく。


「神谷さん、いくつ?」
「25だよ」
大地は年上だった。

この時、飛路――貴大は21だった。


これが大地との初対面だった。


何か彼女について思い出した事があれば連絡下さいと、大地は連絡先を教えてくれた。

もちろんそれは大地に繋がる番号ではない。殺人事件対策本部の番号だ。

そこにかけることはなかった。



2年前の話だ。

この頃、大地は肩書きは25にして警部補だった。大地はキャリアってやつだ。



その後何度か大地を見かけた。大地がいれば大抵、篠山って刑事もいた。


「……」
出勤前、歌舞伎町の入口で大地を見かけてなんとなく眺めていた。ふと目が合う。

ふわりと笑みを向けてくれた。近付いてくる。

「出勤?」
「あ、うん。なんか進展あった?」
「なかなか。彼女とは仲良かったの?」
「まぁね。元カノ」
特に大地は驚かなかった。知っていたのかもしれない。

「蓮華で働くようになったのも、つき合ってる間、リカのヒモでさ、いい加減、働けって蓮華紹介して貰って。けど、それと同時に別れ切り出された」
「いい彼女じゃないか。それでも名取君が心配だった彼女は君を指名か」
「心配? リカが? 俺を振って追い出したのに?」
「うん。多分ね。早く犯人検挙出来るように頑張るから。君も頑張れ」
「……ああ」
じゃあね、と大地が篠山の元へ戻って行く。

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