スピンオフPink chanmery | ナノ


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「なればいい。友達に。でも、東雲に深入りはしない事」
「大地もそうしてる?」
「してる。向こうも東雲の……家の事は一切口にしない。こっちも聞かない」
貴大は頷いた。

「そうする」

寮に着いて荷物を取りに行く。元々の荷物もほとんどない。身軽なものだ。

大地に車で待ってて貰って取りに行った服と、隠していた貯金通帳を持って出た。

「お待たせ」
大地は荷物を見て、それだけ?と驚いていた。

「いろいろ買い揃えよう」
「うん」

いろんなところを回って生活用品を揃えて一度、大地の家に戻る。

大地は使っていない一部屋をくれた。

「あんまり使わないかもしれないけど」
「なんで?」
「……だって、寝る時一緒だし……」
「ああ。でも嬉しいよ。ありがとう、大地」
大地の優しさがすごく嬉しい。
まさか部屋を貰えるとは思っていなかった。

「貴大、何作るの。晩御飯」
「何作ろう……。三人いて仕事ないなら呑むよな……。ビールはあるだろうし」
「まぁ、てきとーになんか作るわ。食材見てからだな」
「貴大、意外と料理とかできるんだな」
「まぁ、必然的に」
大地は深く突っ込んで聞いて来なかった。貴大がヒモだった過去を大地は知っている。

貴大が作る料理は女性が喜びそうな料理だ。

「大地、何食べたい?」
「んー、そうだなぁ。呑みながらでもがっつり食いたい。男料理みたいな。肉、肉食いたい」
「貴大が前、女の子のところにいた時は男の料理みたいなの食べなかった?」
「女の子はダイエットっていいながら、食うけど、やっぱ男に比べれば食べないから。その時は今より5キロは痩せてた。今くらいがベストかな、俺」
「ふうん。大地の手料理楽しみにしてるよ」
「大地の胃袋、がっちり掴むよ。俺は」
「……よろしく」
相手を落とすなら胃袋掴めばいい、とはよく聞く話だ。

貴大と大地はこれからだ。
貴大は大地をがっちり掴むつもりだった。

離したくないと思っている。

「弾のところ行くにはまだ時間あるな。どうする?」
「そうだなぁ……。ドライブする?」
「する!」
貴大は即答した。

「じゃ、出よう」
促されて外に出る。再び車に乗って、車は走り出す。

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