スピンオフPink chanmery | ナノ


▼ 12

「あ、今日お前店休みな」
「は? なんで?」
弾を見る。

「オーナーから電話があった。支店移って休みなしだったから、だってさ」
「俺んとこに連絡なかったけど」
「俺が伝言しておくって言ったんだよ。オーナーは俺んとこにお前がいると思ってるからうちに掛けてきたんだろ」
「ああ……」
そうかと呟いて、持ってきた服を鞄に詰める。

「じゃあ、大地とゆっくり買物できる」
大地を見ると目が合った。

明日の夜の出勤まで大地といる事が出来る。

「神谷さんさ、晩飯うちで食べてかない? 貴大の手料理食えるよ」
「え?」
大地が貴大にどういう事なのと聞かれた気がした。

「貴大がうち出る時、飯作る約束したんだ」
貴大が答える前に弾が答えた。

「……」
機嫌悪そうに貴大を見る大地の瞳。

これも、深入りしてることになるかと思った。だから、大地の機嫌が悪くなったんだと思った。

「弾の手料理楽しみだね」
機嫌の悪そうな顔から一変、大地は笑みを浮かべた。

「じゃあ、7時位に来て。貴大、大体は揃ってるけど、特別いるモノあるなら買って来いよ」
「わかった」
そう言って弾の家を後にする。

「大地?」
「何?」
車に乗り込む大地にごめんと謝る。

「貴大?」
「弾と約束しなきゃ良かった」
「なんで?」
「深入りする事になるだろ。家で飯作ったら、話もするだろうし」
大地はちょっと間を置いて口を開いた。

「線引きは難しいよ。とても。でも、貴大と東雲弾が友達になるのを止めてるわけじゃないんだ」
「大地」
大地は運転しながら話してくれた。

「同期にちーとか千早って呼ばれる人がいる。友達だと思ってるし向こうも友達だと思ってくれてると思う」
「うん」
「彼は今、違う所轄にいるんだけど……。彼、東雲千早って言うんだ」
「しののめ……。え?」
東に雲と書いて東雲。東雲は珍しい名字に入るだろう。

「東雲組組長、千里さんの弟だよ」
「は? はぁ!? え、ヤクザが警察になってるのか?」
「この事は上の人しか知らない。ヤクザ……指定暴力団である東雲組の千早を知らない。刑事である千早しか知らないけど友達だと思ってる」
「友達……」
「なれるだろ? 弾、いい奴なんだろ?」
「あいつはいい奴だと思う。たまにムカつくけど」

prev / next
bookmark
(12/15)

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -