スピンオフPink chanmery | ナノ


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「で、話って?」
「……うん」
小さな声を出し、大地は下を向いた。

大地は、刑事の時の大地の時は目を合わせて聞いてくるのに、素の大地はなかなか言葉を口に出来ない人だった。

「……どうして、俺なの?」
「好きになるのに理由がいる?」
「……」
困ったような顔でチラッと貴大を見る。

「例えば、高校に入学して、友達は全くいない。クラスメートの顔見て友達になれそうな奴を発見。これさ、直感じゃん? 俺、大地見た時、ピンと来た。俺の恋人、この人だって。それじゃ、駄目?」
「……友達、とか」
「友達じゃイヤだ。友達にキスしたいなんて思わない」
「……」
「してもいい?」
「こ、ここで?」
「うん」
「……ここはイヤだ」
「大地の家」
大地は頷いた。

「え、……いいの?」
「……うん」
大地の顔は真っ赤だった。

「俺、重いよ?」
「歓迎」
肩を触れあわせる。微笑んだ大地が身体を預けてくる。

「大地。……俺のこと――」
「好き。……ホントは気になってて……」
「マジで?」
それこそ嬉しい誤算だった。

「……このまま大地の家行って、キスしたい。大好き。マジで」
「……明日と明後日、有給取った。来る?」
「行く!」
パッと顔を輝かせた貴大の顔を見て、大地が笑みを零し、そして貴大の唇に人差し指を当てた。

「声、大きい。周りに、聞こえる」
大地の頬はまだ赤いまま。

「あ、ごめん……」
キョロキョロ周りを見て、大地と笑い合う。

「閉店までいて? 一緒に大地の家に行こう」
「いいよ」
「ありがと」

ウキウキする。
隣に大地が座ってる。それだけでドキドキした。

「大地、俺のどこを気になったの」
「うーん、目かな」
「目?」
「吸い込まれそうな瞳をしてて。目を、反らせなくて……」
「そうか」
「……貴大の瞳は、自分が見透かされそうで。あがらえない。捕らえられたら……」
はっ、と大地は貴大を見て、目を反らす。

「……聞かなかった事にして」
大地は茹でタコのように顔から首まで真っ赤にして、消え入りそうな声で呟いた。

「大地、可愛いな」
「か、わいくないから」
もそっと大地が腰を浮かせて貴大から少し離れた。

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