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チビを抱き上げ蓮路は拓海の側に戻るとチビにご飯をやり、テレビをつけた。
「借りてきたDVD見ようぜ、拓海」
帰り道、レンタル屋で借りてきたDVDをセットする。
「蓮路さん、なんか飲む?」
「あ、芋焼酎。ロックでな」
「あ、オレもそうしよ」
しばらくしてソファーテーブルに2つ、焼酎グラスが置かれる。
「つまみは?」
「サラミとカワハギです」
テーブルに皿を置く。
「座れ」
蓮路は自分の隣をぽんぽん叩いた。
気付けば蓮路は拓海の肩を枕に眠っていた。
チビは蓮路の膝の上。
テレビを消して拓海は蓮路をベッドまで運んだ。
蓮路もその隣に潜り込む。
寝顔におやすみのキスを落として。
翌日、蓮路が朝食を作っている時に拓海が起きて来た。
「おはよ、蓮路さん」
「ぅはよ」
「あっ、スクランブルエッグ」
「お前好きだろ。あれ、お前今日は早かったっけ?」
「んーん。昼から。たまには、いってらっしゃいって言ってあげようかと」
いつも蓮路が仕事出るのが早い。蓮路が家を出るとき、大抵、拓海は寝てることが多い。
朝食を食べ、蓮路が着替えだす。
「今日、遅いの?」
「んー、そうだな。ミーティング次第だな」
「そっか。オレ、今日一度家帰る」
「そうだな、そうしたほうがいい」
拓海の頭を撫でてそう言った。
「チビのご飯はやっとくよ」
「サンキュ」
お互い一人暮らしだ。
拓海は大学進学と同時に。
蓮路もそうだった。大学をやめ、専門学校を卒業しても家に戻らずそのまま就職した。
「あっ拓海」
「ん?」
「これ、出しててくれないか? 昨日出そうと思ってて忘れてたから」
差し出された手紙を拓海は受け取った。
宛名は女性の名前。
「誰?」
「拓海が知らなくてもいい人」
「……」
「黙るな、言い方悪かった」
拓海が椅子の上から見上げて来る。
「俺の生活してる範囲で、全然関係のない人なんだよ。拓海が気にするような関係じゃないし」
「じゃ、誰? 宮野佳奈子って」
「この人と俺、15ぐらい年が離れてる。……俺の姉貴」
「お姉さん?」
「戸籍の上ではな」
「戸籍の上って……」
「その話しはまた今度な」
いってくる、と拓海の頬にキスして家を出た。
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