Pink champagne | ナノ


▼ 4

家に帰れば拓海がいなかった。

「あれ? 拓海?」
返事はない。

けれど電気は付いている。

「拓海?」
「あ、おかえり」
後ろから拓海の声。振り返ればコンビニの袋を下げていた。

「アイス食いたくなって買いに行ったんだ。蓮路さん何食べたい?」
袋の中身を見せてくる。

「ピノ」
「じゃ、オレかき氷」

ソファーに座ってアイスタイム。
蓮路がテレビをつける。

「アクアの帰りに春継さん見かけたよ」
「ハルに?」
「すっごいかっこいい男の人と話してた」
「あー。それ多分、天道さんだ」
「誰?」
「どっかの組と繋がってる人。天道さんの事は俺、あんまり詳しくないんだよ。ハルがかかわらないようにしてくれてたから」
「ふうん……」
蓮路が拓海の顔を覗き込む。

「蓮路さんの地元ってこの辺?」
「あー、近いな」
「へぇ、知らなかった。じゃ、行ってた大学ってオレが通ってるトコだったりする?」
「いや、全然違う。大学も専門学校も俺は都内」
「なんだ、そうなんだ。ちなみにどこ?」
蓮路は名の通った大学の名を上げる。

「蓮路さん、頭いいんだ」
「おうよ」
「でも退学して? もったいない」
「俺には大学行ってる時間が勿体なかった。周りは遊んでる奴ばっか。アホかと思ったね、正直」
ピノをたいらげて拓海の手元を見る。

「やらないよ」
笑顔で言われて舌打ちした。

「冷蔵庫に杏仁豆腐あるよ。あと団子も買ってあるよ」
「マジ?」

冷蔵庫を空けると蓮路の好きなメーカーの杏仁豆腐が冷えていた。

「団子と杏仁豆腐、どっち食うかな」
「蓮路さん、飯は?」
「作るのめんどー。お前なんか料理作れるようになれよ」
「そんな事言われても。壊滅的にダメなの知ってるだろ」
ぷうっと頬を膨らませ拓海は反論した。

「カレーは作れるんだ。それ系統のやつは作れるだろ」
「何、どれ?」
「ハッシュドビーフとかさ」
「どうだろ、作ったことない」
「ま、拓海が料理できたら拓海じゃないな」
蓮路は笑って拓海の額をこづいた。

「俺が作る飯を喜んで食う顔が見れなくなるからな」
「……」
あまりそんな事を言わない蓮路に拓海はまじまじ蓮路の顔を見た。
蓮路が顔を反らす。

拓海が笑顔でこう言った。
「腹減った」

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