Pink champagne | ナノ


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「どこ行きたい?」
「決まってないのかよ」
「うん。一応、デートだし?」
「……は?」
「デート」
まじまじと蓮路は三鷹を見た。

「オレ、サロンの近くのバーで働いてるわけ。一応コレでも副店長。大概事務処理してるとこの時間になるの。ずっと出勤してくるあんたをみてた。片思いってやつ。……最初で最後のデート付き合え」
「俺に片思い?」
「そう。あんたがアクアに就職してからみてた。奏と知り合って、告られて。付き合ってもいいと思ったけど、諦めきれなくてさ。だから奏に頼んだ」
「で、これか?」
「デート付き合ってくれたら諦めるからさ。これで奏とも付き合っていけると思うし」
「わかった、付き合ってやるよ。そういうことなら」
「どこ行く? タキ」
「んー、どうせなら楽しみたいし、あそこは?」
「どこ?」
「ネズミーランド」
「ある意味究極のデートスポットだ」
「だろ?」

三鷹はネズミーランドに方向を変え、高速に乗った。


ネズミーランドでは入口でキャラクター達がお出迎え。

甘い匂いに誘われて蓮路はキャラメルポップコーンのバケツ1つ買った。

「食えるの?」
「三鷹も食うだろ? だからでかいやつ買ったんだ」

2人でポップコーンを頬張りながら歩く。

「あ、あれ入ろう。お化け屋敷」
「え」
三鷹の頬が少し強ばる。

「大丈夫だよ。子供だって入れるんだ。怖いっていうよりすごいから」
「何、タキは来たことあったんだ?」
「うん。ダチと高校の時な。デートとして来たのは初めてだよ」
「恋人とは?」
「ない」
「ふうん」
ちょっと嬉しそうに三鷹は微笑んだ。

約2時間待ち、ようやく中に入る。
その頃にはすっかり2人は打ち解けていた。


お化け屋敷の後、いくつか乗り物に乗って、休憩をとった。


「タキ」
「ん?」
「ゴメン」
「何が」
「奏にいいかとは聞いたけど、いいとは言わなかった」
「……だろうな。神楽店長って何言っても聞いてくれそうな感じじゃん? けどちゃんとした人だからさ。見た目へらへらしてるけどな」
「ああ、ん、そうだな」
「帰ったら土産渡して2人で謝ろうぜ?」
「あとタキの彼氏にもな」
「拓海に?」
「タキが仕事に行ってると思ってるだろうけど、やっぱな……」
「……ちょっと意外だ。そんな事思ってたんだ」
「まぁ……なぁ」
三鷹は小さく苦笑した。

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