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遅い晩ご飯を食べ、拓海が食器を洗っている間に蓮路はベッドで寝てしまっていた。
「しょうがないかぁ」
拓海は寝ている蓮路の額にキスする。
「ん……タクミ?」
「うん」
蓮路の手が伸び拓海を抱きしめる。
「しよ?」
「蓮路さん、疲れてるでしょ?」
「んー。さわって、拓海」
「寝よう、蓮路さん。明日つらいよ」
「や、あ。拓海……」
「どうしたの、いつもは嫌がるのに」
「拓海……。して?」
「いいの? 知らないからね、明日どうなっても」
「あっ」
蓮路の背がくっと反り返る。
拓海は下から蓮路を突き上げる。
「あっあ、たくみっ」
何度目かの精を吐き出し、それでも蓮路の身体は貪欲に拓海を求めた。
こんなにも好き、だったんだ。
大地が来た事で蓮路は自分の中で拓海の存在が大きくなっていたのを自覚した。
蓮路の中に拓海の熱が放たれる。
「拓海、好きだよ」
「うん、蓮路さん。オレも好きだよ」
拓海の熱と抱き締められる腕の重さ。
蓮路は満たされていた。
朝、拓海の腕の中で目が覚めた。
身体はセックスのダルさはあるものの、気分はすっきり晴れていた。
起き上がって拓海を見れば幸せそうに眠っている。
なんだか拓海に幸福感を取られたような気がして拓海を殴るとベッドから降りた。
朝食にスクランブルエッグを作り、焼いてバターを塗ったパンの上にスクランブルエッグを乗せかぶりついた。
身支度を整え、仕事に出る時間になっても拓海は起きてこない。
いつもの光景になんとなく蓮路はほっとした。
それが今までの2人の朝だったから。
「瀧川蓮路さん」
駅からサロンまでの道のり、蓮路は声を掛けられた。
振り返れば、三鷹廉時が立っていた。
「あ、どうも。神楽店長なら来てると思いますよ?」
もう見えている店を差して言うと三鷹は首を振った。
「あんたに用があったんだ」
「俺? 店長や佐竹でなく」
「そう、あんた。……乗って」
側にあった車の助手席のドアを開けた。
「俺仕事あるんだけど」
「うん、だから奏にちゃんと許可取ったよ、昨日。明日、もう今日だけど1日タキ借りていい?って」
奏、神楽店長の名前だ。
「乗って」
促され、助手席に乗った。
三鷹がドアを閉め運転席側に回ってくる。
走りだした車。
「どこ行くわけ?」
三鷹のタメ口に蓮路もタメ口で返す。
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