▼ 7
「良かった……」
「良くないよ、蓮路だってレンと呑んで挙げ句の果てに家に泊めるし、一緒に寝るし」
「……帰りたくなかったから。見たくなかった、拓海と仲良くする大地をさ。たぶん佐竹を泊めたのは大地がいると拓海と一緒に寝れないだろ、隣がいないのはヤだからさ」
「ごめん、蓮路さん」
「ん。俺もごめん。……でさ、拓海」
「何?」
「どうにかしろよっ」
拓海が蓮路の身体に火をつけたくすぶりは消えてはいなかった。
「好きだよ、蓮路さん」
拓海のキス1つで蓮路の身体は熱くなる。
「ん、あっ」
スウェットの中に潜り込む拓海の手が蓮路を煽る。
「……で、る」
「いいよ、出して」
とたんに蓮路は拓海の手に精を吐き出していた。
「……だけ」
拓海の耳元で囁いた。
「拓海だけ」
拓海だけだ、こんなにも人を好きになったのは。
その言葉に拓海は微笑んだ。
「ね、蓮路さん……」
「待て」
がっと拓海の腕を掴む。
拓海の手は蓮路の身体をなぞろうとしていたところだった。
「お前、メシ食わさない気か」
「蓮路さんだけ気持ち良くなってずるいと思わない?」
「思わない」
上に乗ってる拓海を押し退け風呂に向かう。
「上がったら食うからあっためとけ。あ、拓海明日バイトだよな?」
「あ、うん」
「明日何作るかなー」
拓海の週3回の居酒屋のバイト。その日の夜は拓海のほうが帰ってくるのが遅い。
風呂に浸かりながらぼぅっとする。
30分後、風呂から上がった蓮路はソファーに座る拓海に抱きついた。
「うわっ」
拓海が悲鳴を上げる。
「蓮路さん、濡れてる」
「拭けよ、拓海」
「もう、しょうがないなー」
言いながらもタオルを受け取って拭いてくれる。
「拓海」
「何?」
「髪、切りに来い。ちょっと伸びたな」
「じゃ、蓮路さん指名で予約入れてよ」
「今度はどんな髪型にしようかな」
拓海の髪型は髪を切る度に変わるのだ。蓮路好みに。
「ドライヤーかける?」
「かけてかけて」
拓海がドライヤーで蓮路の髪を乾かして、ふと拓海が気付くと蓮路は目をつぶりゆらゆらしていた。
「乾いたよ、蓮路さん」
はっとしたように蓮路は目を開けた。
「……寝てた?」
「うん。疲れてるね」
「まぁなー。でも今日は助かった。いつもは外に出ないからな。いい気分転換になった。サンキュな」
「お礼はキス1回でいいよ」
「なんだ、1回でいいわけ?」
笑いながら蓮路は拓海の唇にキスを落とす。
「続きはベッドでな」
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