Pink champagne | ナノ


▼ 6

三鷹廉時は、鏡に映る神楽を見ていた。

「なんだ、店長の片想いでもないじゃん。三鷹さんもまんざらでもないカンジだ」
「タキもそう思う?」
佐竹が神楽と三鷹を見る。

「くそっ恋人欲しい……」
「あ、言っとくが拓海はやらねーよ?」
「オレ、どっちかってーと、タキのほうが好み」
「……マジか」
「ん」
「悪い、無理」

ぷっと佐竹が吹き出した。
「なんだよ」
「さすがに恋人いるヤツをどうこうしたいとか思わないから」
「あっそ」
ほっと息をつく。

「タキの恋人には思いっきり警戒されてるけどな」
佐竹は肩をすくめて、入ってきた客に挨拶をした。





「おかえり」
拓海は玄関まで出迎えてくれた。
「ただいま」
そう言って靴を脱ぐ。

ぎゅっと拓海に抱きしめられた。
胸の奥がキュンとする。

「拓海」
「んー?」
「……なんでもない」
身体を離して拓海は顔を覗き込んで来た。
「どうかした?」
「いや、拓海だなーと」
「? よくわかんないけど、ご飯出来てるよ」
「お前作ったの? 食えるもんだろーな」
「あ、ひどい」
拓海のすねた顔に笑ってリビングに行くとカレーの匂い。
「妥当な選択だ」

拓海が唯一失敗なく作れるもの。それがカレーだった。
「言うと思った」
拓海は苦笑い。

とりあえず部屋着に着替えて座った。
「あー疲れた」
ソファーに寝っ転がる。

「蓮路さん」
上から拓海が覆いかぶさってくる。
「メシは?」
「あとで」
拓海のキスが降りてくる。
久しぶりの拓海の唇だった。

「たく、み」
「蓮路、さん」
拓海のキスにぞくぞくする。
かっと身体の中心に火がついた。

「拓海」
熱をどうにかしたくて拓海の背中に手をまわす。
「拓海」
蓮路の呼びかけに拓海はにっこり笑って蓮路から離れた。

「拓海?」
「蓮路、オレの事好き?」
「拓海?」
拓海が蓮路とさんを付けないときは怒ってる時だ。

「なんで、怒ってる?」
「好き?」
「好き」
素直にそう言った。
「拓海は? 俺の事どう思ってる? 大地のほうがいい?」
「なんで大地さん?」
「……仲良かったから。顔は大地と一緒だし、性格は絶対大地のほうがいいだろうし」
「大地さんには恋人いるし、オレすっげー蓮路さん愛しちゃってるからありえない」
蓮路はぎゅっと拓海を抱きしめた。

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