最強男 番外編 | ナノ


▼ 010

ぐっと千鷹のモノが入ってくる。

「ちたか……」
千鷹のモノが体内にある時は、ほんの少しでも愛されている気になれる。

「切ない声で呼ぶなよ、ウサギちゃん」
「あ……、ん」
ゆっくりゆっくり、千鷹が収まる。

「ち、あっ」
千鷹が動き出す。

「今朝やったせいか、ウサギちゃんの中、柔らかいな」
「ん……」
中で千鷹が放ったのがわかった。動きを止め、時雨に抱きついて肩に顎を置く。

「ウサギちゃんの中、すっげぇいい」
抜かれないモノはまだ大きいままだ。

「いい?」
「ああ」
「千鷹に抱かれるの、気持ちいいよ」
「そうか」

鎖骨に唇を寄せ、千鷹は吐息を漏らし、ニヤリと笑う。

ペロっと鎖骨を舐め、噛みつかれた。

「いっ……たっ、痛いよ、千鷹っ」
「だから、痛いの好きだろ」
否定出来ずにむーっとする。

「ウサギちゃんは、俺のだろ」
「うん」
「キスマークみたいなもんだ。どっちが早く消えるかな」
同じ場所に朱色の痣を付けられた。

「消えたら……、またつけて」
「ウサギちゃんは俺のだもんな?」
コクリと頷いた。

朝、付いたキスマークと今付いたキスマーク。千鷹の所有印だ。

「いいよ、付けてやるよ」
千鷹が笑う。

「お前は、俺の“日立”で、俺のウサギちゃんだ」
「うん」
それから1時間は千鷹と風呂に入っていた。


「大丈夫か?」
笑いながら顔を覗き込む千鷹に頷く。

のぼせてベッドにひっくり返っていた。
なんで千鷹は何ともないんだと思いながら。

「ほら、水」
ペットボトルの水を渡してくる。ちゃんとキャップは外れてストローもさしてある。

千鷹の気遣いに嬉しくなるが言わない。千鷹は自分がやったなんて言わないからだ。

「千鷹」
隣に潜り込んでくる千鷹に聞いた。

「仕事いいのか」
「残った仕事は明日だ。明日」
「……そう。あと、女性とデートだったんでしょう?」
「あー、いい。いい。どっちでも良かったしな。ウサギちゃんがいるならウサギちゃんといたほうがいい」
「……そっ、か」
朱くなった頬を隠そうとすると、千鷹が制し、その頬にキスされた。

ベッド横のサイドテーブルにペットボトルを置けば、千鷹が時雨を抱き枕にする。

「千鷹、寝るの?」
「悪いか」
「いいけど、早いよ。それに晩御飯食べてない」
「何、お前、食ってねぇの」
頷くと、早く言えと小突かれた。

「起きれるなら、キッチン行こう。藤堂が何か作ってくれるか残りもんか、あるだろ」
「もうちょっとだけ寝てる。まだ、くらくらする」
千鷹が時雨の髪をかき上げる。

「千鷹。神流をどう思う? 千森が神流、欲しいって」
「詩は?」
「妊娠した。千森の子だって」
「へぇ。やるな。なるほどな。けど、あいつがお願いさて、イエスと言うかな」
「言わないだろうね。神流はまず千鷹の事考えるから。でも、だからこそ、イエスって言わせたいんだ。幹部に千森の名前がある。日立一族は幹部にはなれない。東雲や新居の“日立”になるからだ」
そうだな、と千鷹が肯定する。

「幹部になりたい神流は野心家だ。幹部になるきっかけを探してる。なら、千森の“日立”になることを了承するなら幹部が近くなる」
「今の位置からはな。日立って名前があるだけで幹部になるのは容易じゃないぞ」
「千森の幹部にしてやってくれって言う一言があっても?」
「ああ。幹部が神流を認めればいけるかもしれない。俺にもわからないな。なんせ、日立が幹部になんて前例がない」
「神流は認めさせてしまうかもしれないね」
「神流はやるだろうな」
「千森に断った方がいいのかな。いいんだろうな」
「神流は詩が妊娠した事知ってるのか?」
「多分、まだ」
首を振った。千森はまず日立の当主に相談した、そんな感じだった。

「神流は知ったら千森に“日立”なると宣言するぜ。しないわけない。千森の“日立”が空く。幹部に近いのは神流も知ってんだ。ただ待っていれば千森は神流を手に入れる。何もこっちから神流に頭下げて千森の“日立”になってくれなんて言う事ない」
「千鷹、すごい」
「いや、簡単にわかるだろーが」
「そうだけど。じゃあ、千森に待ってろって言えばいいか。神流は千鷹に対して、貪欲だよね」
「まぁな。お前、神流以上に俺に貪欲になっていいんだぜ」
「僕が千鷹の“日立”だから?」
「それもあるけどな。お前に甘えられたり何かして欲しいとか言われるのは悪くない。楽しいからな」
「神流なら?」
「神流はなー、うざいわ」
うんざりした顔で千鷹は言った。

「俺の“日立”が時雨、お前で良かった」
「ほんとに?」
「ああ。俺、お前にだけは嘘吐いたことない。だろ?」
「ん……。ない」

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