月と太陽 | ナノ


▼ 3.エイゼンの行方3

「父上はエイゼンから情報を聞き出そうとしてる。戻らないのは吐かないからだ」
助けなきゃ、エイゼンを。
エイゼンは元軍人だ。決してエイゼンは口を割らないだろう。

そしてエイゼンはネオンの騎士だ。
エイゼンに命令できるのは、エイゼンの口を割らす事ができるのはネオンだけなのだ。

それをネオンの父もよくわかっているはず。


ネオンは国王のもとへ歩き出した。
部屋の前、ノックをする前にドアが開き、国王の側近が顔を出した。
「返して下さい、エイゼンを」
国王は部屋の中央のソファーに座っていた。
「さっき自白剤を打った」
「どこです? エイゼンは」
国王は答えなかった。
「そんなに知りたいですか、スグイの秘密を」
「知りたいね、なんせ奴はスグイの機密に係わる情報を操作していた軍人だ」
「……」
知っていたのか、国王の顔がそう言っていた。
「リーナカンジャの為さ。後にお前の為にもなる。将来、私の跡を継ぐお前の為だ。
逆に知りたいね。なぜ、騎士から情報を聞き出さない?」
「彼は教えてくれましたよ、金のありかをね。でも、僕は誰にも言いません。エイゼンはどこです? エイゼンは答えませんよ、僕がいいと言うまでね」
「だから自白剤を投与したんだ」
「会わせる気はない、そういうことですか」
「吐いたら返すさ。お前が命令を下したとして、元軍人の奴がぺらぺらスグイの情報を渡すとは思えん」
いや、そんな事はない。
ネオンは簡単にエイゼンが機密書を見せた事から考えて、話すだろうと思った。

けれどそれを言ったところで無駄なのだ。
国王はネオンをエイゼンに会わす気などないのだから。


「覚えていて下さい。僕の騎士に貴方は手を出したんだ。それなりの報復はさせてもらいますので」
そう言って部屋を出た。


「さて、どうしよう」
廊下を歩きながら考える。
クナイがそっと斜め後ろを歩く。

「わかりましたよ、騎士殿のいる場所が」
「本当か」
クナイは微かに笑って頷いた。

ネオンが国王と会っている間、クナイはエイゼンを捜してくれていたようだ。

「どこに?」
「……あの方にもにも一応、ネオン様の騎士だとわかってらしたようです。ただかなり拷問されてます」
こちらへ、クナイはネオンを案内した。

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