月と太陽 | ナノ


▼ 2.エイゼンの行方2

けれど情報がない状態で何も出てこない。
手掛かりすらない。

エイゼン、今どこにいる?


「ベッドの下に何かある」
手掛かりを求め何かを探していた時、目がそれを捕らえた。
クナイが手を伸ばしそれを取った。

それはエイゼンがいつも持ち歩いている懐中時計だった。

「エイゼンは一度ここへ戻って来たんだ。じゃあ誰かがここへ訪ねて来た?」
「そういう事になりますね」

懐中時計の蓋を開ける。針はぴったり12時を差していた。
ネジを巻いても1日しかもたない。
エイゼンはそんな旧式が好きなのだ。

「エイゼンが捕らえられたとして、エイゼンが疑う事なくついて行く人、誰だと思う?」
「国王様でしょう。騎士殿の主は貴方ですが、元帥であり国王である貴方のお父様に呼ばれたりするなら行かざるえません。
若しくは国王様の臣下などですかね。
疑いなくと言うのは…ある程度は疑ってかかってるかと」
「うん。でもエイゼンを連れていく理由は?」
「お忘れですか? 彼は元はスグイの人間ですよ?」
「どうしてこんな直前になって?」
「それはわかりません。でも変ですね」
「変?」
「ええ、普通ならその時計、持って行くでしょう? 持ち歩いているわけですから。それがどうしてベッドの下に? 机の上でも良かった訳でしょう? 普通なら」
「うん」

エイゼンの懐中時計。
もしかしてネオンに見つけて欲しくてベッドの下にエイゼンは置いたのだろうか?

「針が12時を差して止まってる。何か意味があるのか」
「12時で止まってる?」
クナイが時計を見る。ネオンは見やすいよう掌を開いた。

「国王様ですね、騎士殿を呼ばれたのは。ベッドの下にあったのは偶然ですね、きっと」
「偶然?」
「臣下の者が国王様が呼んでいると来た。騎士殿の事だ、用心の為にこれを置いていった。
多分部屋を出ようとしたときにネジを上げ12時に合わせそのまま部屋に投げ入れた。
迎えの臣下に見られないよう部屋を出る臣下が背中を向けた時投げ入れたせいでベッドの下に入った」
「なるほど。でも12時の意味は?」
「前に言っていたことがあるんです。
丁度騎士殿の部屋から12時の方向に国王様の部屋があると」
東西南北を時計に見立てる。
12時が北だ。

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