月と太陽 | ナノ


▼ 4.スグイとリーナカンジャ

朝。
目が覚めるとエイゼンがネオンを見下ろしていた。

「おはよう、エイゼン。」
「サンキュ」
エイゼンが呟いた。

何のありがとうだろう、ネオンは首ををかしげた。
そんなネオンにエイゼンは苦笑する。

そんなちょっとした仕草がかわいいと言ったら、エイゼン怒るだろうな。

「昨日の事だかな、ネオン」
「え?」
「スグイを攻めるって言ってたろう」
「ああ」
「やめとけ」

エイゼンはタバコを手に取ると火をつけた。

「過去、あの小さな国が戦争に負けても、占領下にはならなかった。何故だと思う」

ネオンは首を振った。
わからないと。

「あそこがスグイだからさ」

ネオンはますますわからない顔をした。

「リーナカンジャがスグイを攻める。なぜ?」
「わからないか?わかっているんだろう?」
「ネオン」
ネオンはエイゼンを見上げた。

「金か」
スグイは金が採れる。リーナカンジャは金が欲しかった。
「無駄な事だ。戦争になれば金は減る。
スグイには金山なんてない。
リーナカンジャは自分達で金を減らす事になる。それでも金が欲しいのか」
「リーナカンジャはスグイの金が欲しい。どの国だってスグイの金は魅力的だよ」
「……」
「スグイには攻めて欲しくない、か?」
「攻めろ、スグイを。焼きつくせ。リーナカンジャは絶対金など手に入らない。スグイがどうなろうとどうでもいい。スグイは…呪われた国だ」

スグイが呪われた国?
ネオンは眉根を寄せてエイゼンを見た。

エイゼンの手に金。
さっきは持ってなかったはずだ。

「エイゼン?」
エイゼンが金をネオンに放り投げた。
「やるよ、俺には必要ないものだ」
掌に納まる位の小さな金。けれどこの金でどれほどの札束が動くのか。

いつの間にかエイゼンがすぐ傍にいた。
冷ややかな目でネオンを見ていた。

スグイなんてなくなりゃいい、耳元でエイゼンの声がしたかと思うと乱暴に口腔を犯された。

「っエイ、ゼン!」
「過去、スグイを攻めた国で唯一スグイから金を受け取ってる国がある」
「イツカ、の、国?」
「そう」
「イツカになりたきゃ、スグイを怒らせるなよ」
ドンとネオンを突き飛ばすとエイゼンはその上にのしかかった。

prev / next
bookmark
(4/5)

[ back to top ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -