▼ 15
「や、出るっ」
その瞬間、仁は精を吐き出していた。
荒い呼吸を落ち着かせ千里を見ると手についた仁の精液を舐めていた。
かっと頬が熱くなる。
くっと笑うと千里はその手を仁の唇に持っていった。
青臭さが鼻につく。
仁は眉を寄せた。
「俺のだったら舐めれるか?」
面白そうに笑って手を仁から離した。
ぴくりと仁が震える。千里のその手の指が誰にも触られた事のない秘部へと触れる。
「力抜け。大丈夫だから」
精液の滑りを借り、千里の指先がつぷりと侵入する。
「痛いか?」
仁はぶんぶんと首を降った。
ゆっくり指が奥へ進んでくる。
「ああ、や、あっ。何っ」
「いい所発見」
仁の耳元で囁く千里の声。
指が何度も前立腺を刺激する。
出したはずの熱が再び仁の身体を駆け巡る。
「んっ、はっ。あ……あっ」
心臓の音がする。
真っ白な頭の中で仁は思った。
2度目の射精。
はぁはぁ、と仁の息遣い。
千里は仁のこめかみにキスすると指を抜いた。ぶるりと仁が震えて千里を見た。
「入れるぞ」
仁の蕾にペニスをあてがい、ゆっくり腰を進める。
全部入ったと同時にぎゅっと千里にしがみつく。
「ま、って」
千里が動きを止めると仁が息をつく。
「仁」
「大丈夫。……動いて」
仁の額に張りつく髪を後ろに流し千里は仁を覗き込んだ。
「無理するな。慣れるまで動かねぇから」
「ん」
下半身の違和感。異物感。
けれどそれが千里のものだというだけで、なぜか安心する。
ゆっくり仁は動いた。
千里を感じる。
「俺を挑発するな」
動く仁の腰を止め、ぎりぎりまで腰を引き、千里は仁を突き上げた。
仁から悲鳴のような喘ぎ声が漏れる。
突き上げながら千里は仁の名を呼ぶ。
「千里さん、千里さ、ん。千里さ、」
呼応するかのように仁も千里の名を呼ぶ。
語尾が擦れて聞こえなくなる。
「千里」
初めて、千里は仁から“さん”を付けない名を呼ばれ、口角を上げた。
仁の呼ぶ、千里という名を呼ばれながら千里は仁の中に自身の熱を放った。
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