最強男 | ナノ


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「弾に会って、それで日立に用が出来、仁の運転で事務所に行った」
それでいいかと千早が聞く。

警察署の取調室を使い、仁と千里は千早に事情聴取されていた。

「弾と日立が言ってる事と一致する」
書類を揃えて千早は仁と千里を見た。


「……銃弾5発。頭部に1発、肩に1発、腹部に3発。あとは腹と背中に刃物による刺傷、裂傷!」
千早の言葉に冷たいものが仁の背中を駆けた。

「鉄砲玉にしちゃ、後ろから来ないよな」
「鉄砲玉に見せ掛けたものだろ。だがな、どっかの組が関与してるはずだ」
千里の言葉に千早が頷いた。

「戦争になんのか」
「してたまるか。俺は平和主義だ」
「あんたが?」
くすりと千早が笑う。

「……近い内にオレも病院に行く。何かあれば連絡してほしい」
「わかった」
「ん。聴取終わり」
千早が立ち上がった。





それから1週間して千明は容体が急変することもなく一般病棟に移った。

「で、なんで大部屋だよ。普通個室だろ、なあ?」
包帯だらけの千明が元気よく喋る。

本当に瀕死の重傷を負ったのかというくらい元気だった。

「カラ元気じゃなきゃいいが……」
「うん、千明は自分の弱ったとこ見せたがらないからなぁ」
病室の外で仁は千里に頷いていた。

「よく知ってるな」
「1番の友達だったから」
「今もだろ」
日立の声が降ってくる。
「仁、千明ンとこ行ってやれ」
交代だと言わんばかりに日立は病室のほうに仁の背を押した。


「よう」
千明が仁に顔を向けた。
「おう」

ベッド脇の椅子に座る。

「チィ、来たよ」
「そうか」
にっこり千明は笑った。

「見たか」
仁は頷いた。
「でもあれは千明の字じゃないよな?」
「ああ。お前のよく知っている奴だ」
「あいつが?」
「ああ」
「マジで厚が? 千明を? 信じられねぇ。ってかなんで厚が事務所に?」


昔やった事を思い出した。
チィの首輪にメモを挟んで伝言させるという遊び。

千明と仁と、もう1人。
斎藤厚也――。

3人は仲が良かった。
千明がいない中学でも仁は厚也とつるんだ。高校は別になり徐々に疎遠になっていった。


「誰にも言うな。千里兄にも、もちろん千早兄にも、誰にもだ」
「言わなくても、いつか近い内にバレる」
「それでもだ」
千明の強い瞳に頷くしかなかった。

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