最強男 | ナノ


▼ 12

その答えを聞いた雲雀は笑い出した。

「お前、馬鹿じゃないみたいたな。気に入った。もっと馬鹿だと思ってた」

括られていたビニール紐を解いていく。

「あの?」
「人質には変わりないけどな。まだ利用価値はあるし」
「……」
「そんだけ、あの時の記憶にあるセックスって強烈? 忘れてたのに」
「あれは、セックスじゃない。暴力だ」
「そうだ。暴力だよ」
雲雀は肯定した。

「でも、オレにとっては千里を傷付けるため布石にすぎない」
「……千里を貶めたい?」
「ああ」
「貶めたら雲雀さんは納得できるの?」
「多分。今の状況でくすぶってるよりいい」
「そうかもしれないけど……」
「この計画はだいぶ前、お前を知ってから立てたもんだ」
「え……」
「あの日、あの時が偶然なわけないだろ。それだけ、オレは千里を憎んでる」
雲雀はぎゅっと拳を握った。

「……雲雀さん。これが終わったら、俺と一緒に千里のとこに帰ろう。雲雀さんの復讐が終わったら、俺と一緒に千里のとこに帰ろう」
「千里は一度裏切った者を傍には置かない」
「それでも。俺はね、千里しかいない。千里だけなんだ」
仁は少し笑い、続ける。

「千里が雲雀さんにずっと何かしてきたんでしょう? 千里はそれについて謝らなきゃならない。千里が一筋縄で行かないから、雲雀さんはこんなことしたんでしょ?」
「そうだ。利口な奴は嫌いじゃない」
「普通にわかるでしょう……」
「わからない馬鹿もいた」
「……克己……?」
雲雀は答えを避けたが、克己だと顔が肯定していた。

「……雲雀さん。俺の携帯持ってるでしょう?」
「よくわかったな」
「返して下さい。どうせ電池はなくなって電源落ちてるはずだ」
「いいよ」
あっさりと携帯は仁の手の中に帰ってきた。

「ありがとうございます」
「……仁。あいつはお前が思っているような奴じゃない」
「そうかもしれない。……でも、俺は目で見たことしか信じない」
「……あ、そっ。じゃあ、これも? あいつが千明の母親殺したって話」
「千明のって……」
優しく微笑んでる思い出がある千明の母親。その千明の母親を殺した?

「千里が?」
千鷹が千明の母親に刺された話は聞いた。そこではっとする。仁はその後、千明の母親がどうして死んだか聞いていない。

「日立によってもみ消されたけどな」
「……」
「ま、オレはその場にいなかったから? 真実かどうかなんてわからないけどな。オレにはどうだっていいし」

それが本当なら、千里と千明の仲の悪さは、根の深いものになる。ただの兄弟喧嘩で仲が悪くなるのとはまた違う。

じりっと雲雀が仁に近付いた。
びくっと仁が反応する。

「今度は忘れるなよ、仁」
雲雀は仁を犯すことをやめたわけではなかった。

「忘れるなよ」
雲雀の手が無防備な場所に触れ、握られた。
そして亀頭に爪をたてられた。

「……っ!!」
雲雀の手を剥がそうにも駄目だった。雲雀の手は巧みに仁を追い上げたのだ。

快感が這い上がり上手く力が出ない。

「ひ」
名前を呼ぶ前に雲雀は手を離した。

「なぁ、フェラされたことあるか?」
「はっ、あ?」
「千里に。ないだろうな。あいつはされても自分からはしないだろ」
そう言い放つと雲雀は仁のものを口にした。

「!? 雲雀さっ」
「黙ってろ。してやるよ」
くわえたまま雲雀は答え、ねっとりとキャンディを舐めるように根元から舐めていく。

カリまで舐められてピクリと反応する。

亀頭を唇で挟み、れろっと舐められるのがわかる。そして吸い上げられた。

「気持ちいいだろ」
にぃ、と笑って今度は上下に扱かれる。雲雀の舌使いはあっという間に仁を頂点に押し上げる。

仁は首を振った。

馬鹿にしたように鼻で笑い、
「どこまで我慢できるか見てやるよ」
と、雲雀は仁の足を割る。

仁は逃げを打つが、雲雀の右手が仁自身をぐっと握り込んだ。

「逃げるなよ。なぁ、仁」
雲雀の目は笑っていなかった。草食動物を狙う獣の目をしていた。

見たこと、ある。
この瞳を。

あの時も雲雀はこんな目をして仁を見た。

「心臓、捻り潰してやりたいね。千里がどんな顔するのか、見てみたい」
仁にのしかかり、心臓のある左側に体重をかけてくる。

息苦しくなる。

「ひばり、さんっ」
「サイコーだよな」
「ひばり、さんは、千里に、どうして欲しいんだよ!!」
「決まってる」
ふっと息苦しさが解消される。

「死」
仁の顔が強張る。それを見て雲雀は声を上げて笑った。

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