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「冗談だ。真摯に謝って欲しいね。無理だろうけど。無理だとわかっていても、こういうことをせざる得ない。ここまでしても、多分あいつはオレの気持ちなんか一つもわかりはしないんだろうな」
「そんなこと……」
「わからない。何度それで千里とぶつかったか。何度……!! だからお前を知ったときは喜んだ。黒田とな」
あの時、雲雀だけでなく黒田もいた。ここにはいない黒田も。
「黒田、さんは、なんで? 話せよ!! 聞く権利あるだろ……。なきゃおかしいじゃん!!」
「それは黒田に聞けよ。黒田に聞くべき事だ」
「そうかもしれないけど!!」
「お前、マジでうるさいわ」
がりっと鈴口を爪で抉られ、声を上げた。
血が出てくる。血が雲雀の指を汚していく。
「あう、っ」
血を絞り出すように上下に扱く。傷口が真っ赤だった。それでも熱は上がる。
ずくんと熱が自身に溜まっていく。
あっと思った時、仁は熱を解放していた。雲雀の手や自分の腹を血液混じりの精液が汚す。
「これからだぜ、仁」
雲雀の笑った顔にゾッとした。
引き寄せられバランスを崩し、雲雀の胸に飛び込むことになる。
「お前、俺の弟だったら良かったのにな。そしたら、楽しかっただろうに」
するりと首に手をかけられる。
雲雀は赤い首輪を持っていた。それを仁の首に付ける。かちりと音がして、リードが付けられる。
「お前は犬だ」
犬?
そんなわけない!!
強くそう思った。
犬というのは信頼があって、飼い主につくのだ。
犬、という言葉で朱里を思い出す。
俺は仁の犬になる。
そう言ったのは朱里だ。
雲雀のいう犬と朱里の言う犬。
意味が全然違う。
来い。と、念じてみる。
来い、朱里が本当に俺の犬なら。
来てみろよ、そんな気持ちもあった。
朱里、来いよ。
来い。
冷たいものが尻にかけられて我に返った。
それがローションだとすぐに気付いた。
「う……」
その滑りを借りて指がローションを塗り広げる。つぷりと指が入ってくる。
嫌だと思った瞬間、ぞわっと鳥肌がたった。
「嫌か」
雲雀の一言が頭上から聞こえる。
「……あっ」
その指が前立腺に触れ、不意をつかれた仁はピクリと反応した。
「ふうん。いいわけ?」
カッっと頬が熱くなる。
「あっ、痛っ、う……」
何かが尻の中に入っていく。
「何……」
「バイブ」
カチッとスイッチが入れられる。
「やっ……」
バイブのスイッチが入り前立腺を刺激する。
「ふ、う、んっ」
「この刺激じゃ、イくにイけないはずだ」
「こんなことしたって……!!」
「口塞ぐか?」
ぶんぶんと首を振る。
「賢明だ」
「あっ」
雲雀の手が前に伸び、仁のモノを扱く。
熱が高くなる。
いやだ、こんなの。
助けて。
あの時もそう思った。あの時は、遅かったけど、厚也が助けてくれた。
今回は厚也の助けはない。
涙が溢れてシーツに消える。
「うっ……」
雲雀は仁の身体を嘗めるように見た。
後ろ手に縛られ、熱で上気した頬。仁のものは先走りに濡れていた。
「いい様だな、仁。もっと虐めたくなる」
雲雀の手が仁の腰を撫でるように滑らせる。
「……っ」
「……俺は仁を千里に返すつもりなんかない」
「か、えりたい……」
「可哀想にな。千里にはここは見つけられない」
なんでと思う間もなく仁は声を上げた。
「あ、あ……ぅ」
バイブのスイッチが強になったのがわかる。
「や、め……」
「じーん、ここが何処かわかるか」
「……ここ? わかんなっ」
意識が下半身にいく仁にはどうでもいいことだった。
仁の身体の中で蠢くバイブは仁を犯す。それを見て雲雀はくっと笑った。
「黒田の家だ。よく、部屋を観察してみろよ。違うだろ」
「……そんなの、わかんなぃ」
短い呼吸を繰り返す仁に笑いかける。
「気を失った時、連れて来た。千里は仁が克己の家にいるのは掴んでるはずだし、な。後ろだけじゃイかないか」
ズルリとバイブが抜かれる。
「……っ」
「まさかここに仁がいるなんて思わないだろ?」
ポイとバイブが後ろに放り投げられる。
がっと髪を引っ張られる。
「なぁ、ビデオ撮るか。お前が俺に犯されてるビデオ。あー、でも、居場所がバレちゃうなー」
なぁ? と、同意を求めるように雲雀は首をかしげた直後、仁の後ろに当たったモノ。
ソレがグッと押し込まれ、仁は息を詰めた。
さほど抵抗もなく入ってくるのは、昨日克己に犯されたせいか、それともバイブか。
「今回、大丈夫そうだなぁ。前は血が出て壮絶だったもんな」
引っ張られた髪を更に雲雀は自分に引き寄せた。
「動け。仁」
仁は首を振った。
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