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「…二回目だというのに、えらく美味そうに締め付けてくるじゃねぇか…」
「あ、ちが、…んぁァ、だって、それは…」
「…本当に堪らねぇな、お前は」
「ひぃっ、ぁあァンっ」
俺の腰を掴んでそう言うと、滝本龍は腰を打ち付けてきた。大量の水で腹は膨らんでいるというのに、より奥深くまで入ってきて、しかも強引に出し入れされれば俺は抵抗できずにただ喘ぐしか出来ない。
「んぁ、ァン、ぅ…ひぁァ」
腹が膨れているため、屋上で犯されたときよりも一層滝本龍のペニスを感じてしまう。
太さも硬さも、浮き上がっている脈ですらも、何もかも分かってしまい凄く恥ずかしい。
激しく腰を打ち付けてくるから、パンパンと肌がぶつかり合う音も、結合部分から聞こえてくるグチュグチュという水音も、恥ずかしくて堪らない。
風呂場での行為のため、滝本龍の腰にクる低い声も俺の喘ぎ声も全部含めて、反響してより大きく耳に入ってくる。
「…も、ゃだよ…ぉ、…ンぁァ、」
「こんなに感じてるくせに、…んなこと言うのか?」
「ひぁァ、…ン、許して…っ」
「お前が俺を解放してくれねぇんだろ?」
「…ん、…ァぁ」
…俺の所為?何で?
逆だろ、滝本龍が俺を解放してくれないんだ…。
嫌だって言っても、離せって言っても、聞いてくれないし、…全部滝本龍の所為なんだ。
「も、…ンっ、ひぁ…、何で、俺なんか…ァ」
「…………」
「俺、貴方になんか気に障ること、しましたか…?」
「…違う」
「謝りますから、もう二度としませんから、…許してください…、」
「………、違ぇって、言ってるだろうが…っ」
「……ひぃぁァ?!」
きっと滝本龍は俺のこと嫌いなんだ。
だから男の俺なんかこうして犯して、苛めて、陵辱して楽しんでいるんだ。
俺は知らぬ間に滝本龍の気に障ることをしてしまったのだと思い謝れば、…怒鳴られおもいっきり最奥を突かれた。
「聞いていれば、的外れなこと言いやがって…、」
「ァ、ひぅ、…ンぁ、ゃめぇ…っ」
「“許す”?…はっ、許すも許さねぇも、ねぇよ。」
「ンっ、…ひぁ…ァ?」
「…言っただろ?俺とお前は磁石のようだと。」
「…あ、ァ、ちょ、…待って、っ、…ン、うまく、…きこえない…っ」
滝本龍が大事なことを言っているのは分かる。
俺の聞きたかったことを教えてくれていることは分かる。
だけどこうして腰を乱暴に動かされて、激しく抜き挿しをされば、聞きたくても集中して滝本龍の声を聞けない。
「…お前が、俺の目の前に現れたときから決まってるんだよ。」
「……ンぅ?」
「お前は俺の物だって。」
「……ァ、…ぇ…?」
そして滝本龍はそう言うと、ペニスを抜こうとはせずに、身体を繋げたまま、まるで駅弁のような格好を俺に取らせると、そのまま浴室を出て俺を寝室にまで運ぶ。
「…ァ、…んンっ…!」
そして俺の身体をベッドに優しく下ろすと、今度は四つん這いではなく、向き合うような形で俺を抱きしめてきた。
「…ふァ、…ん、…な、何?」
「はっきり言わねぇと、分からねぇのか…?」
「……た、きもと…?」
滝本はそう言うと、汗で張り付いた前髪を払ってくれた後、俺に触れるだけのキスをして、こう言ってくれた。
「……俺は、
…お前が好きだ。」
快楽に呑まれそうになっていた矢先に、はっきりとした口調で告げられた。
……何故だか俺の頬には熱い液体が伝った。
指で拭う。どうやら俺は自分で気付かない内に涙を流していたようだ。
この涙の意味は…?
「……返事は?」
「あ、…え、…その、俺は……」
何て答えればいいのか分からず、俺はただ涙を流し続けるしか出来なかった。
そしてそんな俺の様子を見て、滝本龍は困ったように笑うと、俺の頭をグシャグシャと撫で回した後にこう言った。
「……名前、
俺の告白を受けるなら、名前を教えろ。
…そうすれば、これから好きなだけ可愛がってやるからよ……。」
啄ばむ様な優しいキスを受けて、俺はやっと自分の気持ちに気付けたような気がする。
俺は目の前にある滝本龍の頬に手を添えて、震える声を絞り出して告げた。
「…の、野々村、…岬です……」
そう言えば満足そうに滝本は笑い、震える俺の身体を力強く抱き締めてくれた。
確かに言われた通りだ。
俺たちはまるで“磁石”のようだ。
…それは何故かって?
決まってるだろ、
…俺が滝本を離すつもりはないからだよ。END
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