▼ 恋は盲目
お風呂場/焦らし/言葉攻め
「…は、離せ…っ」
「ここまで来て、まだ抵抗するのか?」
「…………っ、」
滝本龍に連れて来られるまま、家にまで来てしまった。
もちろん抵抗はした。
…抵抗したけど、俺の微々たる力では全く敵わなかった。逃げれば、すぐに首根っこを掴まれて連れ戻され、勇気を出して滝本龍を叩けば、鋭い目付きで睨まれる。
夜の住宅街で大声を出して助けを呼べれなかった、チキンの自分が忌々しい…。
「………帰っていいですか?」
「阿呆か。」
「…か、帰りたいです…、」
「駄目だ。」
滝本龍はどうやら一人暮らしのようだ。
親御さんや兄妹が居ないということは、…必然的に二人きり…。
「……な、何で俺何かを……、」
「…………」
本当に何でこうなってしまったのか分からない。
…何で、俺が男なんかと……。
「言っただろ。」
「……何を…?」
「もう、離れられねぇって。離すつもりもねぇ。」
「…っ、そんな勝手なこと、」
「…お前が悪いんだ。」
「………?」
俺は何か滝本龍を怒らせることでもしてしまったのだろうか?思い当たる節はない。
「……俺の前に現れた、
…お前が悪い。」
「…え?」
「知ってしまったからには、離すつもりはない。」
「…………っ」
こいつの言っている意味が分からない。
言葉が足りな過ぎて、俺には理解できない。
……だけどこれだけは分かる。
滝本龍は本気だ…。
ギラギラした目が、嘘ではないと物語っている。
…緊張と恐怖から、喉がなる。
「……来い。」
「わっ?!…ちょ、今度は何処に…?」
「……風呂。」
いきなり腕を掴まれたかと思えば、風呂場にまで連れてこられてしまった。
「……中、洗わねぇと。」
「中?」
「…俺の精液、入ったままでいいのか?」
「……なっ?!」
「腹壊すぞ。」
確かに俺は滝本龍に中に出された。
……ドプドプ、と注がれた熱い大量の精液を…。
だ、だけど滝本龍は屋上で粗方掻き出してくれたはずだ。「嫌だ、止めろ」と抵抗をする俺の言葉を聞かず、荒々しく腸内を長くて節ばった指で……。
「……ぁ、…ゃ、」
あの時の言いようのない快楽を思い出してしまって、身体がブルリと震える。
…それを滝本龍は見逃さなかった。
「……物欲しそうな面しやがって…」
「ち、違…っ」
「違わねぇよ。お前の今の面は、男を……いや、俺を誘ってやがる。」
的確に指摘されてしまい、俺は焦る。
…確かにあのときの強過ぎる快楽を求めて、肉欲的になっていたかもしれない。
だけど別に滝本龍を誘っていたわけではない。
……そう無理矢理自分に言い聞かせる。
「じ、自分で出来ますから…っ」
「あ゛?」
「帰って、家で自分で出来ますから、……か、帰らせてください。」
「……………」
だ、駄目だ。
こいつと一緒に居たら、駄目になる。
正常な思考を保てない。
一刻も早く滝本から離れないと…。
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