短編集 | ナノ

 恋は盲目



お風呂場/焦らし/言葉攻め







「…は、離せ…っ」

「ここまで来て、まだ抵抗するのか?」

「…………っ、」



滝本龍に連れて来られるまま、家にまで来てしまった。

もちろん抵抗はした。
…抵抗したけど、俺の微々たる力では全く敵わなかった。逃げれば、すぐに首根っこを掴まれて連れ戻され、勇気を出して滝本龍を叩けば、鋭い目付きで睨まれる。


夜の住宅街で大声を出して助けを呼べれなかった、チキンの自分が忌々しい…。




「………帰っていいですか?」

「阿呆か。」

「…か、帰りたいです…、」

「駄目だ。」



滝本龍はどうやら一人暮らしのようだ。
親御さんや兄妹が居ないということは、…必然的に二人きり…。



「……な、何で俺何かを……、」

「…………」



本当に何でこうなってしまったのか分からない。
…何で、俺が男なんかと……。




「言っただろ。」

「……何を…?」

「もう、離れられねぇって。離すつもりもねぇ。」

「…っ、そんな勝手なこと、」

「…お前が悪いんだ。」

「………?」



俺は何か滝本龍を怒らせることでもしてしまったのだろうか?思い当たる節はない。




「……俺の前に現れた、

…お前が悪い。」

「…え?」

「知ってしまったからには、離すつもりはない。」

「…………っ」



こいつの言っている意味が分からない。
言葉が足りな過ぎて、俺には理解できない。
……だけどこれだけは分かる。



滝本龍は本気だ…。



ギラギラした目が、嘘ではないと物語っている。
…緊張と恐怖から、喉がなる。




「……来い。」

「わっ?!…ちょ、今度は何処に…?」

「……風呂。」



いきなり腕を掴まれたかと思えば、風呂場にまで連れてこられてしまった。



「……中、洗わねぇと。」

「中?」

「…俺の精液、入ったままでいいのか?」

「……なっ?!」

「腹壊すぞ。」



確かに俺は滝本龍に中に出された。
……ドプドプ、と注がれた熱い大量の精液を…。

だ、だけど滝本龍は屋上で粗方掻き出してくれたはずだ。「嫌だ、止めろ」と抵抗をする俺の言葉を聞かず、荒々しく腸内を長くて節ばった指で……。



「……ぁ、…ゃ、」



あの時の言いようのない快楽を思い出してしまって、身体がブルリと震える。


…それを滝本龍は見逃さなかった。




「……物欲しそうな面しやがって…」

「ち、違…っ」

「違わねぇよ。お前の今の面は、男を……いや、俺を誘ってやがる。」



的確に指摘されてしまい、俺は焦る。
…確かにあのときの強過ぎる快楽を求めて、肉欲的になっていたかもしれない。


だけど別に滝本龍を誘っていたわけではない。


……そう無理矢理自分に言い聞かせる。




「じ、自分で出来ますから…っ」

「あ゛?」

「帰って、家で自分で出来ますから、……か、帰らせてください。」

「……………」



だ、駄目だ。
こいつと一緒に居たら、駄目になる。
正常な思考を保てない。


一刻も早く滝本から離れないと…。





prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -