▼ 湧き上がる欲情
●藍崎side
「……おい」
「ご、ごめん、なさい…っ」
「…………」
自分の気持ちを誤魔化さず、俺は緑間に「愛している」と伝えた。緑間も俺の事が好き。俺も緑間の事が好き。低レベルな“恋愛ゴッコ”なんて興味はねぇ。好きだからこそ緑間に触れたい。愛しているからこそ身体を繋げたい。緑間を最高に気持ち良くしてやりたいし、俺も緑間の中で気持ち良くなりたい。
「…今日“も”駄目そうか?」
「……ご、ごめ…」
「いい、謝るな。」
「藍崎……」
しかしそうも上手くは行かないのが事実。
どうしようもないくらい淫乱なくせに、緑間は俺に触れられるのを拒むのだ。前は俺の手で可愛らしく喘いでいたというのに…。
だから未だに俺達は身体を繋げられていない。
「本当に、ごめん…。」
「謝るなって言っただろ。」
「…で、でも…、」
「それ以上グダグダ言っていると、無理矢理犯すぞ。」
「…………っ、」
緑間に思いを告げてから一週間が経ったくらいに、俺は緑間に手を出した。口内を舌で掻き回し、シャツをたくし上げ胸元を弄る。そのまま勃起している緑間のペニスに愛撫をしてやろうとすれば、…緑間は泣きながら拒絶したのが始まりだった。
どうやら緑間は曰く、
「藍崎に触られると、狂ってしまいそうになるから、…怖い…っ」
…だそうだ。
そんな可愛い台詞を聞けば、余計に手を出したくなるのが男の性だろう。しかし身体を震わせて涙を流す緑間の姿を見れば、無理強いは出来なくなった。
……これが“庇護欲”というやつなのだろうか。
元々俺の匂いを嗅ぐだけで勃起してしまうような淫乱だ。その俺に触られれば尋常ではないほど、感じてしまうらしい。
「…捨てないで…っ」
「…あ゛?」
「我侭言っているのは分かってるけど、藍崎に捨てられたくない…、」
「お前…」
「…だって、俺では藍崎を満足にしてあげられないから…。」
「…………」
ああ、クソ。
いつもと同じ通りだ。俺は緑間のこの「捨てないで」という台詞に弱い。俺が捨てるわけも飽きるわけもないというのに、緑間は俺に懇願してくる。
…別に俺は身体目的で緑間と付き合っているわけじゃねぇのに。
「…………」
一体どうすればいい。
手っ取り早く無理矢理緑間の身体に快楽を教え込むのが早いのだろうか。…だがしかし、俺に触られるだけで勃起して射精しちまうような淫乱だ。
緑間のいう通り、本当に“狂っちまう”かもな。
……だが、それもまたいいかもしれねぇと思ってしまった事は、緑間には言わないでおくことにする。
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