短編集 | ナノ

 込み上がる愛情



●藍崎side





「好き、…藍崎が大好き…っ」

何でこいつはこんなにも馬鹿で可愛いのだろうか。
緑間は未だ俺の胸元に顔を埋めて、俺への思いを律儀に伝えてくれている。…確かに嬉しい。こうして愛を囁かれるのは嬉しいのだが、…限界というものがある。
このまま押し倒して滅茶苦茶にしてやりたい気持ちを抑えて、俺の所為で赤く腫れてしまった緑間の頬に手を添えた。


「……ん…?」

「冷やしに行くか。」

「これくらい、大丈夫だよ…?」


俺が叩いた緑間の頬は、酷く熱を持っている。
緑間と話していた男は加減なく殴ったのだが、緑間の頬を平手で叩いたのは、ほぼ無意識だった。恐らく反射的に加減をしたのだと思うが、俺の元々の力を加減した所で、大差はないと思う。


「大丈夫じゃねぇだろ。」

「…ほ、本当に大丈夫だって…っ」

「……お前な…」


大丈夫なわけがない。
それに緑間が大丈夫でも、俺が大丈夫ではないのだ。
…緑間の白くて柔らかい頬が俺のせいで傷付いていると思うと、凄く嫌だ。


……クソ。
俺はこんなに甘い奴だったか…?
「愛している」と面と向かって緑間に告げてから、どんどん訳の分からない感情が湧き上がってくる。
“こいつをもっと甘やかしてやりたい”
“緑間をもっと愛してやりたい”


「…っ、おら、行くぞ。」

まさか俺なんかがこんな甘ったるい感情を持つことが出来るとは思っていなかった。しかしそんな所を緑間に気付かれるのが嫌だったから、俺は誤魔化すように緑間の腕を掴んで保健室に連れて行こうとした。

…しかし緑間は本当に嫌なのか、頑なに動こうとしない。

「や、…やだ…!」

「…緑間、」

「だ、…って…」

緑間は涙目になりながら、腫れた頬を愛おしく触る。
…そういえば、先程緑間はこの腫れた頬が愛おしいと言っていた。冗談かと思っていたが、どうやら本気らしい。

……本当に緑間は馬鹿で可愛い奴だ。


緑間はきっちり一番上までシャツのボタンを留めている。俺はそのボタンを丁寧に外すことなく、乱暴に引き裂き第三ボタンまで千切って、露になった緑間の首元に顔を埋めた。


「…ぁ、…ゃ…っ?!」


軽くを歯を立ててから、ベロリと舌で舐める。
そして傷一つない滑らかの肌に吸い付いた。


「…ひ、ァ、…ン、ゃ」


その行為を数回繰り返した後、俺は顔を上げる。
そして緑間の身体を見て、俺は満足する。
…緑間の首元や胸元には俺が付けた幾つもの所有印が散らばっているのだ。白い肌によく映える赤い痕。


「……あ、…」

「痕なら俺が好きなだけ付けてやる。その痕が消える前に何度だって付け直してやる。」

…だから、頬は冷やせ。そう言えば、緑間は何処か恥ずかしそうに、だが嬉しそうにはにかむとコクンと頷いた。

だがしかし保健室に行く前に、まずは限界を訴えているほど勃ち上がった緑間のペニスを処理してやることが最優先だろうかと、……俺は少し悩んだのだった。



END


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