短編集 | ナノ

 一直線



<内容>
藍崎×緑間/甘エロ。抜きっこ。藍崎視点。







「あ、藍崎…っ」

「……何だよ?」

「そ、その…、」


緑間から告白されて一ヶ月が経った。
まだ緑間は、俺が歪んだ愛情を寄せていることに気が付いていない。

確かに緑間の事は好きだ。
大人しいくせに以外と積極的な所も好きだ。敏感で俺の匂いだけで射精してしまう所も好きだし、俺の言い付けを守って、なるべく他の奴と喋らない従順な性格も好きだ。
…まぁ、何より俺なんかのことを好いてくれているところが一番好きかもしれない。

だがそんな緑間の“こういう”態度はあまり好きではない。


「…何を怯えてるんだ…?」

「ご、ごめん…っ」

「一々謝るな。」

「ご、めん…、あ、いや…今のはその、違うくて、…その、ごめんなさい…」

「…………」


俺のことが好きだと言っているくせに、一々俺に怯えた態度を取る所だ。確かに小動物みてぇで可愛いが、俺は緑間と平等な立場で居たいと思っている。


「……怒った?」

「………っ、」


泣きそうな表情で弱々しく訊ねられれば、怒る気すら失せて、このまま力強く抱き締めたくなる。
だが今そんな事をすれば、緑間はまともに喋れなくなるだろう。“何か”を俺に伝えようとしているんだ。
それを聞くまで、下手な行動は取らないほうがいいだろう。


「…怒ってねぇよ。」

「ほ、本当…?」

「あぁ。……で?」

「…え?」

「何か俺に言いてぇ事があるんだろ?」

「…あっ、」


するとやっと用事を思い出したようだ。
緑間は白くて柔らかそうな頬を桜色に染めて、恥ずかしそうに、たどたどしい口調で俺に告げてきた。


「…あ、のさ、」

「何だよ?」

「その、…俺、」

「…はっきり言え。」

「っ、俺、…射精…したい…!」


放課後の誰も居ない教室に、やけに緑間の声が響き渡った。
頬を真っ赤に染めながら、恥ずかしそうに下唇を噛んで俯く緑間。



……あぁ、本当にこいつは堪らねぇ。


俺は自分の下唇を舌で舐めて、恥ずかしそうに身体を震わす緑間の姿を見た。


『俺の名前を呼びながら一人で処理するくらいなら、今度から俺に言え。』


と、以前俺が言ったことを、どうやら守っていたようだ。本当に素直で従順過ぎる緑間。
馬鹿な奴程可愛いというのはこういう事だろうか…?



「…あれから一度もやってねぇのか?」

「う、…うん…」


あの日から一週間以上経っている。
この“一週間”の期間中、緑間は何を思っていたのだろうか。きっと馬鹿で恥ずかしがり屋なこいつのことだから、言いたくても中々言い出しきれなかったのだろう。

…ああ、どうしたものか。
緑間を苛めたくて仕方がない…。



「…どうやって射精したい?」

「……えっ?!」

「お前が一人でオナってる所を見てれば、緑間は満足か?」

「………っ、」

「ちゃんと答えろよ。」

「…わ、分からないよ…」

「触って欲しいのか、それとも…、

舐めて欲しいのか…。」

「………ぁ…、」


舌を出してわざとらしく見せ付けるように、自分の上唇を舐めれば、緑間の身体がブルリと震えた。
…もちろん俺はそれを見逃さなかった。



「…あ、いざき……」

「どうして欲しいんだ?」

「………、」

「答えろ。」

「……、藍崎の…、

…好きにして……?」


その言葉を聞いた瞬間、今度は俺の背筋に震えが走った。

…本当にこいつは堪らねぇ。





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