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※この話はとある少年漫画に感化されて、カッとなってかいた話です。似たよった部分がありますので、そういうのが苦手な方は閲覧をお控えしてくださいませ。「ゆう、と」
「やっぱり面白ぇ」
真田は声を出すのも苦しそうに俺の名前を呼び、そして真田のことを殴っていた男は手を止め、再び俺の方に向き直った。
「…だが、煩ぇよ。邪魔すんな。」
そのまま男は俺に近寄って来た。
そう、それでいいんだ。
真田が殴られるくらいならば、俺が暴行を受けたほうがいい。
男は俺の前髪を掴み、抜けそうなほど引っ張ってきた。痛みに顔を歪めて声を漏らせば、男は嬉しそうに口角を上げる。
「…いっ、」
「何お前、マゾ?」
「痛…」
「そんなに俺に殴られてぇの?」
「……、死ね…」
「……上等」
男は笑う。
そして手を振り上げた。
俺は殴られると思い、身構えた。
ガチャン…
しかしその瞬間真田が居る方で、金属音がした。
俺もそして男も動きを止め、真田の方を見る。
「さなだ…?」
…あれ?
真田って俺と同じく手錠を付けられていたよな?
…あれ?
じゃぁ何で真田は立ってるの?
…あれ?
何で真田はこっちの方に向かってきてるんだ?
「……お前っ」
「…っ?!」
男に殴られ蹴られ続けた所為で、真田の動きはとても辛そうだ。そして俺と男の方へと近づいてくる真田の姿がどんどんはっきりと見えてきてやっと分かった。
…真田の手から血が滴り落ちている。
「手の肉削いで…っ」
何と真田は手の肉を削いで手錠を外していたのだ。
大量の血が地面に落ち続けている。
とても痛そうなのに、真田は悲鳴一つ上げない。それが余計に痛々しく思える。
鳥肌が立った。
「さな、だ」
「悠斗…」
そして真田はゆらゆらと俺達の方へと近づいてくると、今まで暴行を加えていた男に手を出すことなく、…何故か俺を守るように壁になったのだった。
「悠斗、悪いな…」
「真田、俺…大丈夫、だからっ」
「…お前のこと守れねぇなんて」
「…早く、逃げてよ!」
俺が何と言おうと真田は俺を守るようにしたまま、動かない。逃げようと思えば逃げれるのに、男を殴ろうと思えば殴れるのに何で…っ。
「…そんなにこの男のことが大事なのか、真田…?」
「……死ね」
「正直驚いたぜ。お前が、他人を守るなんて」
「………」
「…望み通り、殺してやるよ」
すると男は俺を守るように壁になってくれた真田の背中を、容赦なく叩き続けるのだ。
俺は自分の不甲斐なさに涙を零した。
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