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※この話はとある少年漫画に感化されて、カッとなってかいた話です。似たよった部分がありますので、そういうのが苦手な方は閲覧をお控えしてくださいませ。「…い……っ、」
「頭悪い奴は嫌いだが、お前は中々面白いな。」
「…あんたなんかに気に入られたって、全然嬉しくない。」
この最低男は逆らえば逆らうほど、抵抗すれば抵抗するほど燃える性質だというのは分かっている。だけど言わずにはいられない。真田を馬鹿にする奴は大嫌いだ。口端から血を零しながら、俺は男を睨み続ける。
別にこれくらいなんてことはない。
痛くなんてない。俺が暴力受けるだけなら全然いい。
真田さえ、無事なら俺はどうだっていい。
「……はは…」
「何笑ってんだ、お前…?」
「別に。あんたには全然関係ない事だから。」
痛みでおかしくなったのか?などと、声を出してニヤける俺を見て男は不思議そうに首を傾げている。
だっておもしろいじゃないか。
以前はあんなに真田の事が大嫌いだったのに、自分の身を差し出してでも守ってあげたくなるほど好きになっていることが。
レイプ紛いのことをして、俺が逃げようが抵抗しようが何度も何度も無理矢理身体を組み敷いてきた真田。どうしようもないくらい嫌いだった。
だけど今はどうだ。
凄い好き。
馬鹿みたいに好き。
「…こんなの、全然痛くないよ。」
真田を守れるなら、これくらいの暴力全然痛くない。
「泣いて許しを請えば、お前だけでも助けてやらないこともないぜ?」
「……は、クソ喰らえ。」
「…やっぱり、お前いいな」
「…………っ、」
再び頬を殴られた。
口の中が血の味でいっぱいだ。
だけどこれでいい。真田の事なんて忘れるくらい、俺の事にこの男を集中させていればいいのだ。
…しかしどうやらそうも上手くはいかないらしい。
「てめぇ…っ。死ね!クソ野郎!…俺が絶対お前をぶっ殺してやる!」
柱に括り付けられたまま、手錠をガチャガチャと音を立てながら、真田は何度も男に悪態を吐いているのだ。真田の姿は肉眼ではあまりよく見えないのだが、声と気迫でその様子が手に取るように分かる。
「うるせぇよ、真田。」
「……殺す…っ」
「……うるせぇ。」
「悠斗を、…離せ!」
「うるせぇって言ってるんだよ」
真田の罵声に煽られたのか、俺の近くに居た男は真田の所まで走って行くと、その勢いのままおもいきり真田の頭部に蹴りを入れた。
「…やっ…、真田!」
「……最初から、俺だけに手を出せばいいんだよクソ野郎。」
「……や、だ…」
「どうした?チキン野郎、かかってこいよ。」
「上等だ。……殺してやる。」
駄目駄目駄目駄目駄目駄目。
真田が殴られる所なんて見たくない。
嫌だ、止めろ。
しかし男は俺のときとは比べ物にならないくらいの力で、真田を殴り蹴り続ける。
「……やめて、」
やだよ。
そんなに強く殴ったら、真田が死んじゃう。
男が憎くて堪らなくて、俺は感情のままにおもいきり叫んだ。
「やめろってんだ!ぶっ殺すぞ、クソ野郎!」
俺が叫べば真田の罵声も、男が殴る度に聞こえてきた音も一瞬で静かになった。
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