短編集 | ナノ

 3





「か、勝手な解釈するな…っ」


思わず真田の表情に見惚れてしまったが、今の言葉はきちんと訂正しないと。
…だ、誰が嫉妬なんかするかよ…っ。



「……別に、俺は…お前の事なんて、何とも……、」


“思っていない”…と言いたい所なのだが、何故だか先程の綺麗な女の人の顔がチラついてしまい、モヤモヤする。



「…な、なぁ…?」

「何だ?」

「……さっきの女の人、誰?」



何で気になってしまうのだろうか?
別にあの女の人が真田とどういう関係だろうと、俺には関係ないのに。
…だけど聞かずには居られない。



「……訊きてぇか?」

「………っ、」



真田の言葉に思わず息を呑んでいると、真田は口角を上げて、俺の頭の上にポンっと手を置いた。



「……姉貴だ。」

「…え?」

「ただの姉だ。」

「……そ、そうなんだ。」



姉……。
先程の人が真田の彼女でもセフレでもないことに、安堵のため息を吐く。


…あ、あれ?
何で、“安堵のため息”?
そういえば先程のモヤモヤがなくなったような……、




「…認めろよ。」

「な、何を…?」


真田の言葉の続きを聞いたら後戻り出来ないような気がする。…だけど訊かずにはいられない。




「……俺を、


好きだってこと…。」





……あぁ、やっぱり。


もう、後戻りは出来ないや……。






******






「ン、っ、…ぁァ」


胡坐を掻いた真田の膝の上に乗り、ドロドロに解された尻の穴に、真田の凶器の様なペニスが入り込んでいる。
最初は獣の様な、余裕のない乱暴な後背位での突き上げ。そして次は顔中にキスの嵐が降ってきた、正常位。

…そして今に至る。
対面座位の状態で、下から激しく突き上げられている。



「ンぁあァ、ひぃ…ァ」


俺は既に四回も射精している。
…真田だって二回もイっているくせに、萎える気配すら見せないペニスで、俺の中を掻き回す。



「ぁァ、んぁっ、ひぁ…ン」


真田のことが好きなんだと自覚した今では、この行為が凄く恥ずかしくて気持ちが良い。
…身体が真田を求めているのが分かる。

激しくピストンされながら、もっと真田を感じたいと思った俺は、意識的に真田のペニスを締め付ける。



「………く…っ、」

「ぁ、…ン、真田…ァ」

「…てめぇ、煽りやがって…っ」


そうすれば真田の獣の様な低い唸り声が、耳元で聞こえる。
俺で感じている事が分かり、凄く嬉しい。



「…ン、さ…なだァ、…んゃァ」

「……煽ったのはてめぇだ。腹膨れるまで、注いでやるよ。」

「ん、…っ、ァ、ゃぁ…」



噛み付くような激しい口付けをした後、真田は口角を上げて鬼畜な笑顔を浮かべてそう言った。

反射的に逃げようとすれば、腰を掴まれ、下から一際激しく突かれる。



「ンぁぁあァ!」

「……はっ、

…俺から逃げられると思うな。」

「…ん、さなだ…ァ」

「手放す気はねぇから…。」



昨日までだったら、死刑宣告の様な真田の言葉。
……だけど自覚してしまった今なら、何でも情熱的なプロポーズのように聞こえてしまう。
「手放す気はない」と言った真田の言葉に答えるように、俺は真田の首に腕を回し抱き付いた。







貴方のは、


俺を夢中にさせたこと。





END



prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -