短編集 | ナノ

 一方通行なんて言わせない



yu様、來様/「真田×悠斗。嫉妬/甘々/対面座位/(一方通行なんて許さねぇの続編)」







あの時真田の告白のような言葉を受けてから、行為は中断された。
何処かに行こうとしていたので、「何処に行くんだ?」と訊けば、「…頭冷やしてくる。」とのことだった。


…行為が中断されて、嬉しいやら、寂しいやら…、よく分からない感情が芽生えたのは秘密だ。



そしてそれから、真田は一向に俺に連絡を寄こさないままである。



「…何だよ、あの野郎。」


全く迷惑な奴だ。
いきなり俺の目の前に現れて、俺の心も身体も掻き乱してきたくせに、…あれから連絡一つも寄こさないなんて。

…本当は連絡がないことに喜ぶはずなのだろうが、あの時の真田の言葉と、照れて赤くなっていた様子が頭から離れない。



「…俺はどうかしてる。」


あいつは男の俺を無理矢理犯した奴だ。
…何度も何度も。
止めろと言っても、離せと言っても、止めてはくれない。むしろ泣いて許しを乞う俺の姿に、興奮していたくらいだった。

……それなのにあれから三週間も経つ。
連絡一つ寄こさない。



「……もう、忘れよう。」


普通の暮らしに戻るんだ。
いいチャンスじゃないか。
真田は俺を追っては来ない。
…だったら女の子と遊び放題だ。



「…あんな奴、知るかよ……。」


俺はそう思い、モヤモヤする何とも言えない感情を、無視をすることにした。







*******





「………はぁ…」


真田と会わなくなってから一ヶ月以上が経った。

…あれから俺は胸のモヤモヤを晴らすため、色々な女の子と遊んだ。


しかし予想に反して、日にちが経っていく内にモヤモヤは大きくなっていくばかり。
女の子からセックスの誘いが来ても、……何故だか断ってしまう自分が居る。


分からない。
自分も、…真田も、

…この胸のモヤモヤも……。



「…むかつく。」


苛々する。
…何だよ、これ…?
今まで感じたことのない苛々に不安感。

どうすればこの負の感情はなくなってくれる。


そう思った俺は、意を決して真田の家に行くことにした。




「……居るのか?」


連絡先は知らない。
理由は俺が登録される度に、消していたから。
…まさか自分の行った行為に、これほど後悔するとは思わなかった。

いきなり連絡なしに家に行くなんて、不安だが仕方ない。
俺はインターホンを押した。




「………出ないな。」


やはり留守なのか。
インターホンを押しても、出て来ない。
…無駄足を踏んでしまったことに、余計に苛々しながら、俺はその場から立ち去ろうとした。




……しかしその瞬間…、




「はーい、どなたですか?」


見覚えのない女の子が真田の家から出てきた…。
その瞬間、俺の胸の中のモヤモヤが更に大きくなった……。





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