▼ 2
「…ぁ、っ…ン、はァ…あ、」
…女の喘ぎ声?
…ったく、何なんだよ?人が気持ち良く寝てるっていうのに。俺テレビでも消し忘れたか?
…というか、腹痛ぇ。俺何処かにぶつけたんだっけ?
「…ひァ、あ、ぁっ、ン」
それにしても、何か女の子にしては低い喘ぎ声だなぁ…。煩いから早くテレビでも消して、ゆっくり寝たい。何だか身体が重たいからな。休める内に身体を休めとかないと。
「あっ、…ん、ふぁァ、あン」
「…おい…、」
「ん、ぁ…はァ、ンぅ…」
「いつまで気失ってんだ?…おら、起きろ。」
「…ひゃぁぁァっ?!……っん、んぅ…?」
背後から聞こえてきた男の声と、ビリリッと身体中に走る電流、それと痛みを通り越した快楽に、一気に眠気が覚めた。
重たい瞼を開けると、自分の部屋にあるものとは違うベッドが目に映る。しかし全く見覚えがないわけではない。
…このベッドはいつも真田に犯されているときに、嫌でも見ているものだ。
…ということは、今俺は真田の家に……、
「…やっと気付いたか?」
「さ、なだ…、」
当たりたくなかった勘が当たってしまったらしい。
四つん這いの格好で気を失っていた俺の背後から真田の声が聞こえてきた。ダルくて上手く動けないのだが、首だけで後ろを振り返って見てみると、雄臭い鬼畜な笑みを浮かべている真田が視界に入ってきた。
「…な、何して…、」
「野暮なこと聞いてんじゃねぇよ。」
ベッドの上で、後背位の状態で繋がっている俺と真田。どうやら俺が気を失っていたことをいいことに、勝手に身体を繋げていたらしい…。
もしかしてまどろんだ意識の中で聞こえてきた喘ぎ声は、俺の…?
…確か俺はデート中だったはず…。その場面を真田に見られてしまい、必死に逃げていた俺は、真田に見つかって鳩尾を殴られたんだったな…。それからの記憶がないということは、そのとき意識を失っていたということか…。
「…も、離せよ。…っン、気は済んだだろ?」
俺が気を失っていたことをいいことに、無理矢理身体を繋げていた真田に俺は抵抗する。しかし身体を動かそうとすれば、腰をがっちり掴まれる。これでは逃げたくても逃げられない。
「あ゛?…んなもんで、満足するわけねぇだろうが。」
「…ちょ、も…嫌だって…っ、ひぁ…」
俺が気を失っていた間にどれだけ腸内を掻き回され、解されたのかは分からない。だがグチョグチョに濡れていることを察すると、乱暴な口調や手付きとは裏腹に真田はきちんと解してくれたようだ。
「…ひぃァ…、ァん、はァ」
痛みは感じない。
それどころか、散々真田に開発されたせいで、俺の身体は忌々しいことに快楽に浸っている。
「はァ、あンッ、も…止めろって、はぁァ」
「“止めろ"だ?嘘吐くな。悠斗、てめえが俺を離さないんだよ。」
「あ、ぁあァ、んゃァ」
いくら回数を重ねているからといって、何で俺は男の真田相手にここまで感じているのだろうか。
女の様な淫らな自分の喘ぎ声をこれ以上聞きたくなくて、下唇を噛んで必死に声を抑える。
三嶋や他の男に犯されたときは、快楽なんて一ミリも感じなかったというのに。…真田に初めて犯されたあのときだってそうだ。いくら男達に腸内をペニスで掻き回されようが、胸を弄られようが、俺のペニスは勃起するどころか、ピクリとも反応しなかった。
「…あ、っ、ンぅ…はぁあァ」
それなのに真田と身体を繋げた瞬間、今のように嬉しそうに俺のペニスは天を仰いで、先端からはいやらしい汁を垂れ流している。
まるで真田に犯されることに、喜んでいるようだ。
嫌なのに、男なんかに、…真田なんかに犯されるのなんて嫌なのに、俺の身体は自分の物ではなく、真田の物になったかのように、嬉しそうに喜んでいる。
「あ、っ、はあ…ぁ」
「……おい」
「…っ、ひぃァ…ああ…ァン」
「……あの女誰だよ?」
「おま、えに…、ァ、…っ、関係ない…、」
「はっ…。いつまでも学習しねぇ奴だな、てめぇは…っ」
「…ひぃっ?!ああ…ぁああァッ」
いつまでも抵抗し続ける俺に、真田は怒りを露にする。しかし俺を殴る蹴るなどの暴行は加えずに、腸内に挿入している凶器の様なグロテスクなペニスで、最奥にある前立腺をゴリっと潰してきた。
「…あ、…ぁあ…っ、ひ…ぁあァ」
痛みを感じる所か、あまりの圧迫感に、俺の口からは涎が零れ落ち、目元からは大量の涙の粒が流れる。
「…今日は、泣いても許してやらねぇから…。覚悟しろよ。」
「ぁ、…っ、ゃ…ぁあァ」
真田の言葉は、まるで死刑宣告のように思えた。
どう足掻いても真田の怒りを静めるのは無理のようだ。俺の腰を掴んで、更に激しく腰を打ち付けてくる真田に、俺はただ悲鳴のような喘ぎ声を出すしか出来ないのだ。
prev /
next