短編集 | ナノ

 3(真田視点)






それから俺は都合良く媚薬の所為で上手く力の入らないこの男を、自分の家に連れて帰った。


「…や、め、…離せ、よ」


「煩い。おら、入れ。」


頬を赤く染め上げて息を乱す姿は、とても征服欲が掻き立てられる。そんなことに、この男が気付くわけもなく、俺は泣きながら抵抗をするこの男に、更に興奮していくのが自分でも分かった。



「やだ、…も、帰りたい…、」


「……馬鹿か、お前は。」



こんな状況で逃がす男が居ると思ってんのか?
俺は幼子のようにぐずり出した男の頭を、ガシガシと乱暴な手付きで撫でてやる。
…これから酷いことをするつもりなのに、何故このような態度を取ってしまったのか自分でも分からねぇ。
自分でも理解出来なくて頭を悩ませつつも、俺は男を風呂場に押し込んだ。



「…な、に…?」

「汚ねぇ屑共に触られただろうが。」

「……?」

「洗い流せ、ってことだ。」

「……ひっ…?!」


媚薬の所為で思考が上手く回らない男に、言葉で理解させるよりも身体で理解させるべく、男の着ている上着だけ脱がして湯を掛ける。



「…や、めろ、」

「黙ってろ。」


シャワーヘッドから出てくる湯を頭から浴びさせる。逃げようとする男を背後から拘束している俺も、服を着たまま濡れることになってしまうのだが、そんな些細なことなど気にしない。
そんなことよりも、今は目の前に居る獲物をどうやって喰っちまおうかと考えることだけで、俺の頭の中は大半を埋め尽くしている。



「も、…やめろ、って、ンっ、…は…、ァ」


「…何エロい声出してんだよ、てめぇは…。」


「…ち、ちが、ンっ、…ゃ、く、…ふぁ、」


俺はまだこいつに何もしていない。
それなのに何だ、この艶っぽい声は。


「……もしかしてお前、」


「ん、ぁ、…やだ…、」


「シャワーなんかで、感じてんのか?」


「ち、…ちが、…ンぁあ…っ」


「違わねぇだろうが。一人で盛り上がってんじゃねぇよ。」


本当に媚薬の所為だけなのだろうか?
こいつはシャワーでの水圧だけで、こんだけ喘いでやがるんだ。天性の淫乱だと思っても間違いないだろう。



「…俺も楽しませろよ。」

「ひっ?!あ、…あぁ…ン」


タイルの壁に手を付かせて、俺は背後からシャツ越しに、男の立ち上がった乳首を指で押し潰す。


「ひぁ、…く、ぁあ…ン!」


そうすれば男は腰にクる艶っぽい声で喘ぎ出す。



「ん、あ…、ひぁ…あン、ふぁ…っ」


「…堪んねぇな、お前…。」


声だけでこんなに興奮したのは初めてだ。
…いやそれを言うのであれば、セックスでこんなに興奮したのは初めてではないだろうか?


もっとこの男の声が聞きたくて、そしてもっとこの男の乱れる姿が見たくて、俺は更に強く乳首を指で捏ねながら、美味そうな首筋に噛み付いた。



「い、…ぁ、ひぁ…、っ、ン」


「淫乱。」


「ち、…ちが…っ?!ン、…あ…ン、や、だ、離せ…っ」


「違うなら何でチンポ勃たせてんだよ、おい。」


「ひっ、…ぁああン!」



萎えることなくずっと勃起していた男のチンポを、ジーンズ越しに力強く握り締める。
…そうすれば男は、一際甲高い声を上げて射精した。




「……マゾ野郎。」



媚薬のお陰で痛みすらも快楽へと塗り変わるようだ。
力強く握り締めたというのに、男は快楽に塗れた表情を浮かべ、涎を垂らしながら、犬のように舌を出して息を乱している。



そんな男の姿に、俺の喉は再びゴクリと鳴った。






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