短編集 | ナノ

 続編(宝来視点)



捕まったのはどっち?続編




短編小説「捕まったのはどっち?」の続編/宝来×彼方/ヤンデレ/暴力表現注意/宝来視点





“一生逃がさねぇ”


あのとき彼方に言ったのはもちろん冗談ではない。
現に俺は彼方に首輪を付けて一時も側を離れていない。本当は首元に俺の名を彫ってやろうとしたのだが、「痛いのは嫌だっ」と泣きながら可愛く懇願されたので断念したのだ。

でも結果的には首輪で良かったのかもしれない。
彼方の白い肌には赤い首輪がよく映える。それはもう…堪らなくそそるくらいに。だがまだ食べはしていない。
俺が彼方に愛しているくらいに、彼方が俺に溺れてくれたら、その時に全てを頂こうと思っている。心も、そして身体も。



…だがその甘い考えがいけなかったのだろうか。
彼方が自分の側に居るという事に満足していたある日。事件は起きた。


彼方が逃げ出したのだ。
昔の仲間と。男と一緒に。俺の元から。


…そんなの、

許せるわけねぇだろ?



「ぐ、…ッ」


俺はすぐさま彼方を見つけ出し、白く柔らかい頬に拳を叩き付けた。勢い良く殴ったからか、彼方の軽い身体は吹っ飛んだ。痛みからか目元に涙を滲ませ、口端からは血を零す彼方の弱弱しい姿に、俺は酷く興奮した。


「…なぁ、彼方」

「ヒッ、…く、くるな…っ、」

「何怯えてんだ?」

「や、やめッ、」

「彼氏に怯える必要あるのか?逃げ出す必要もねぇだろ?」


何が不満だった?
もしかしたら俺の気を引きたくて他の野郎の元に行ったのか?それなら最高に可愛いな。
だが彼方から返ってきた返事は予想とは反し、非常に可愛くなかった。


「お、お前なんか、彼氏でもなんでもねぇよ…っ」

「…あ゛?」

「気持ち悪い事言うんじゃねぇ、…大体、俺は…ッ、ぐ、…ァ?!」


聞くに堪えない台詞を中断するべく、俺は再度彼方の頬を叩き、そして口端から零れる血を指の腹で掬い取る。


「…少し甘やかし過ぎたか」

「っ、ふ、…ぐ、」

「俺の心を弄ぶなよ」

「…宝、来」

「一生離してやらねぇから」

「い、や、…だっ」

「最初にその気にさせたのは彼方だろ?」


なぁ?
その潤んだ目で俺を誘ってきたよな。その赤く柔らかい唇で煽ってきたよな。それなのに俺の側から離れるなんて有り得ない。…許せねぇ。


「宝来、…お前、…おかしい」

「別におかしくねぇだろ」

「……、」

「それに、おかしいとしたらそれは彼方の所為だ」

「…狂ってる…っ、」

「それも彼方の所為だ」


お前が俺をこんなに夢中にさせるんだ。


「だから最後まで責任取れよ」

「…っ、」

「彼方の一生を俺に寄越しな」



もう絶対に。
離しはしない。



END


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