▼ 続々編
捕まったのはどっち?続々編
短編小説「捕まったのはどっち?」シリーズ。宝来×彼方。ヤンデレ攻め、強気受け。俺の名が刻まれている首輪を付けている彼方。
やはりいつ見ても彼方の白い肌には赤が映える。以前は首輪だけを付けていたのだが、今は新たに足枷を付けてやった。
拘束されてもなお、俺を睨み付けてくる彼方は生意気で、それでいて愛らしい。頬を撫でればより一層、俺を睨み付けてくる目が鋭くなった。
「触んなっ」
「………」
俺から逃げることなど不可能なのに、未だ隙を見ては逃げてやろうと睨み付けてくる彼方は俺の嗜虐心を煽って止まない。
「俺にこんな事しやがって…っ」
「………」
「いつか、殺してやる」
「…その時は俺もお前を殺してやるよ」
死ぬときは一緒だ。
俺だけ先に逝ったら彼方は寂しいだろ?
それと同じように彼方が先に死んだら、俺もすぐ後を追う。死んだからといって離れるはずがない。生きようが死のうが、一生離さねぇよ。
彼方の首元に顔を近づけ、痕を付けながらそう言えば彼方の身体が震え出した事に気が付いた。
「どうした?」
「おま…え、本当…おかしい…っ」
「何処が?」
「全部だよ!ふざけんなっ。俺はお前の物じゃねぇ!」
いい加減それくらい分かれ!そう俺を怒鳴りつけてきた彼方の目に力強さはない。先程までの生意気な目も好きだったが、弱々しいこの目もまたそそる。
「聞いてるか?!」
「ああ」
「…それなら、早く俺を解放しろ!」
「無理だ」
「な、…っ、クソ!」
「捕まえて離さないのは、彼方も一緒だろ?」
「……は…?」
現に今だってそうだ。
俺を魅了して離してくれない。
先に縛り付けてきたのは彼方なのに。
自分だけ被害者面をして。そんなに俺の気を引きたいのか?
…本当、可愛い奴だな。
「だが、」
「…あ゛?」
「生意気な口を叩くのもいい加減にしとけ」
「煩ぇ!俺に指図すんな!…っ、…ぐ、ぁ?!」
「…どう足掻いたってお前は俺の物なんだよ」
同じように。
俺はお前の物だ。
馬鹿な彼方にも分かり易いようにはっきりと言えば、一瞬だけ彼方の目が揺らいだ。だがすぐにいつも通りに鋭い目付きで俺を睨み付けてくる。そして床に血を吐きながら、挑戦的な目をして俺にこう告げてきたのだ。
「お前なんかに屈服したりしねぇから」
「………」
「絶対になっ」
俺は彼方の台詞を聞き、口角を上げた。
本当に馬鹿だ。その態度が俺を煽ってるんだよ。
「彼方。愛してる」
そんな馬鹿な彼方には何度だって教えてやろう。
お前は俺の物だと。
そして。
お前の事を誰よりも愛してるのだと。
END
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