▼ 10
そして蕩けきってヒクヒクと淫らに収縮して男を誘う明美の秘部へと、琢磨はその雄々しいペニスを宛がった。
「あ、…ま、って」
だが。
それ以上先の行動を制する明美。
「…あ?」
案の定、それに不満を述べるかのように眉間に皺を寄せて低い声で唸る琢磨。
琢磨は「ここまで来て止められるか」と瞬時に思ったが、それを言葉にはせずに、琢磨は寸前の所で止めた。
それは何故か。
もしその台詞を吐けば自分の余裕のなさを明美に露呈するようなものだからだ。
男相手にがっついているなんて自分でも認めたくないというのに、それを明美に知られるのは絶対に嫌らしい。
「……ここまで来てかまととぶってんじゃねぇよ」
「ちが…、後ろからじゃなくて、」
「…あ?」
「ま、前からが、いい、です」
どうせ最初で最後の機会なのだ。向かい合って自分の変の顔を見られるのは恥ずかしいけれど、それならば、今この幸せな時を忘れないように、琢磨の顔を少しでも長く近くで見ていたいというのが明美の考えのようだ。
「………」
「あ、あの、…ダメ、ですか?」
「…チッ」
何故目の前の男はこんなにも男を煽る術を知っているのだろうかと琢磨は思った。
そして男相手に翻弄されている事実と、男を誘い慣れている明美への苛立ちを抑えることが出来ずに琢磨は舌打ちを漏らす。
「っ、あ?!」
そして琢磨は四つん這いの状態だった明美の身体を手荒に仰向けの体勢へと変えた。
「…これで、いいんだろ」
「あ、…はい」
まさか自分の身勝手な申し出をこんなにもあっさりと聞き受けて貰えるとは思っていなかった明美は、驚きを隠せないまま琢磨の言葉に頷く。
だが。
自分から申し出た事だけれど、やはり改めて向かい合って顔を見るのは少し恥ずかしいなと、明美は己の我侭な悩みに内心苦笑したのだった。
「力を抜いてろ」
「…う、ん」
そして琢磨は明美の両膝の裏に手を持っていき、そのまま脚を左右に開かせた。
隠す術などなく、明美の艶かしい裸体はそのまま全て琢磨の視界へと収まる。
恥ずかしさに身体を小刻みに震わせる明美と、目の前の光景に喉を鳴らす琢磨。
琢磨はまるで余裕も理性も失った未経験者のように、明美の身体にがっついた。
prev /
next