短編集 | ナノ

 11


「っ、ァ」

明美の物より倍以上に長くて太い琢磨のペニスが蕩けた秘部に入り込む。
いくら琢磨が舌と指を使って濡らして拡張したとしても、そこは排泄部分。出す場所であって、入れる場所ではない。

「い、ッ…あ、っ!」

めり込むように入ってくる熱い塊は、明美に苦痛をもたらす。
だがそれは明美だけではなく、琢磨も同じのようだ。
明美程の苦痛はないとはいえ、食い千切らんばかりの強い締め付けに琢磨は唸る。


「狭ぇ…、」

「っ、く…は、ん、ァっ」

「おい、…息を、しろ」

「ふ、ぁ…っ、ンぁ、」

目を強く瞑り、呼吸さえ止めて全身に力を入れている明美に、琢磨の物が受け入れられる訳がない。琢磨は額に脂汗を滲ませて、ボロボロと大粒の涙を流す明美の顔を見下ろす。

痛いほどの締め付けは、このまま強引に腰を進めて欲のままに動けば、次第に拡張されて美点となるだろう。
だが。
琢磨は指で慣らしていた時と同じようにその行動は取らなかった。


「っ、は、ふ…ッ、」

それどころか琢磨は、まるで恋人を甘やかす彼氏のように、汗で濡れている明美の前髪を優しく掻き上げたり撫で上げた。


「お前、…慣れてるんじゃねぇのかよ?」

「…ちが、っ、こんなの、初めて…、」

「まじかよ…」

ったく、しょうがねぇな。と、琢磨が何気なく放った台詞に明美は傷付いたのと同時に、酷く後悔した。「処女は面倒臭がられる」という話は知っていた。こんなことなら、琢磨の手を煩わせないように、誰が相手でもいいから処女を捨てて拡張をして貰えば良かったと。

だからそんな事を考え思っている明美には、「しょうがねぇな」とぶっきら棒に言葉を放った琢磨が満更でもない表情をしていた事には気付くことが出来なかった。


「ごめ、んなさい…」

「謝んな」

そんな暇があるならばゆっくり呼吸でもしてろ、と言い放つ琢磨の台詞に頷きながら、明美は指示された通りにゆっくりと深く息を吸って吐くという何度も繰り返した。

そうすれば明美の身体からは次第に力が抜けていく。
琢磨を受け入れている秘部も、最初の頃と比べると抜き挿し出来る程度には力が抜けていた。


「、っ、ん…ァ、ふ」

男とは思えない甘ったるい匂いに誘われるまま、琢磨は明美の首元へ顔を埋める。
鼻腔を擽るその匂いを味わうべく、赤い舌を出してペロリと舐め上げれば、汗の塩っぽい味がした。琢磨はそのまま明美に気付かれないように、首元の皮膚に吸い付き、所有印を残したのだった。






*****




「あの、これ…」

自分の首元に琢磨が付けた痕が付いている事に気付かないまま制服を身に着けた明美は、琢磨に十万円が入った茶封筒を差し出した。
想像していた以上に優しくしてくれた琢磨に渡すには少し額が足りないかもしれないと内心冷や冷やする明美。

「………」

だがそんな明美の思いを察する事が出来るわけもなく、琢磨は差し出された茶封筒を受け取ることすらせず、ただその封筒をジッと見つめた。


「あ、あの…た、足りない?」

「……次は?」

「え、?」

「次は、いつだ?」

「次って、…え?…次も、お願いしてもいいの?」

「……ああ」

まさかの琢磨の申し出に明美は驚いた。
だが。それ以上に嬉しさで内心舞い上がっていた。
次を許してくれるくらいには自分を受け入れてくれているのだと。


「…あ、だけど。次は二、三ヶ月後くらいかな?」

「…何故だ?」

「お金、貯めないといけないから」

「………」

学業を疎かにしない程度にアルバイトをしたとしても、十万円という大金を学生が貯めるには時間が居る。


「とりあえず、今回の分。その、今日は、あ、ありがとう。…はい」

「………」

「し、不知火?」

「…いらねぇ」

「え?な、何で?」

「……ワンコインでいい」

早く次の約束をこぎ付けるために、そんな事を言い出したのだと気付かれないように、ぶっきら棒に言い放つ琢磨。

だがそんな事は申し訳ないと、琢磨の言い分に首を横に振って、強引にでも茶封筒を琢磨に受け取って貰おうとする明美。


「…ひっ、」

しかし。
自分に歯向かうなという意味を込めて、目を細めて睨みを効かせてくる琢磨に、明美はそれに従う事しか出来ずに、慌てて財布から五百円玉を取り出して琢磨に手渡した。



「…ふっ」

手渡された五百円玉を受け取った琢磨。
自分が要求したつもりだった額よりも五倍高い価値のあるコインを握り締めて、琢磨は意味あり気にほくそ笑んだのだった。





END

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