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「ひゃぁ、ぅ、ァっ」
強引に挿し込まれた三本の指の所為で、確かに結合部がツキツキと痛む。
だが今の明美はその痛みすら薄れるほどの羞恥に陥っていた。
好きな人に自分の尻の穴に顔を近付けられただけでも耐え難い事だというのに、その上、表面だけではなく腸内すらも掻き舐められているのだ。
「き、汚い、から…ぁ、こんなの、っ、んゃぁ」
恋人同士どころか二人は明美の一方的な片思いの末に、「一度だけお金で抱いて貰う」という契約をしただけの仲。同性愛者でもない琢磨に無理を言って抱いて貰うというだけで申し訳ない気持ちに苛まれるというのに、こんなことまでされるなんて堪ったものではない。
「ん、ひ、ぁん、んァ」
だが。
琢磨が与えてくれるぬめった舌と骨ばった太い指との同時の刺激は、拒めない程の快感が明美を襲っていた。
ベッドシーツを爪が白くなるまで強く握り締め、目をギュッと瞑って刺激に耐える明美の口からは、飲みきれなくなった唾液と絶え間ない喘ぎ声が漏れ続ける。
恥ずかしいのに、ダメなのに、こんなことまでしなくていいのに。そんなことを思いながらも明美はより一層琢磨への愛情を強めながら、高鳴る胸を痛めていた。
そして対する琢磨と言えば。
「ん、ゃ…ぁ、はァ、ん」
明美の気持ちに気付くわけもなく、ただただ自分の与える刺激に敏感に反応する明美に興奮していた。既にズボンの布を持ち上げる程に勃起している。
琢磨は明美の思っている通り異性愛者。もちろん今まで女しか抱いたことはない。
それに男の尻の穴を舐めたことは疎か、女にさえ舐めるといった愛撫などして来たことはない男だ。ただ暇つぶし程度に胸を揉んでいた程度。
女相手ですら秘部を慣らすことなくただ突っ込んで欲を吐き出すだけ吐き出したら、そのまま放っておいて帰る。琢磨はそういう男。
そう。
そういう男“だった”のだ。
琢磨を変えたのは明美の魅力なのか、それとも二人の相性なのか。その答えは分からない。
だが琢磨自身にすらその疑問に気付くことなく夢中に互いを求める二人にとっては、答えなどどうでもいいのかもしれない。
「、ん、ひァッ、…は、ふ…、」
そして琢磨は散々甚振った明美の穴から挿し込んでいた舌と指を同時に抜く。
その際にヌチャと極めて卑猥な音が立った。その水音に恥ずかしがる明美と、より興奮する琢磨。
「…おい、」
「ん、…ぅ?」
「挿れるぞ」
「……う、ん」
快感と緊張と、少しの期待から震えて揺れる明美の腰を琢磨は後ろから掴む。
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